最新記事

印パ関係

ウクライナ危機の影で、「ミサイル戦争」寸前になっていたインドとパキスタン

2022年3月22日(火)17時25分
マイケル・クーゲルマン(ウッドロー・ウィルソン国際研究センター上級研究員)
パキスタン製ミサイル

軍事パレードで披露されたパキスタン製のミサイル AP/AFLO

<インドから「誤射」されたミサイルがパキスタン領内に着弾。死者が出なかったことなどから大事にはならなかったが、意図的な発射との疑念も残っている>

ロシアのウクライナ侵攻が核戦争に発展する危険性がささやかれる陰で、核保有国であるインドとパキスタンの間であわや軍事衝突かというアクシデントがあった。3月9日、インドから発射されたミサイル1発がパキスタン領内に着弾。パキスタン側の抗議に対しインド国防省は11日、定期点検の際の技術的不具合により「ミサイルを誤射」したと認め、調査を約束した。

幸いにも死傷者は出ず、また印パは昨年、領有権を争うカシミール地方での停戦に合意していたこともあり、両国とも今回の事態に冷静に対応した。だが仮に死者が出ていたら、破滅的な危機に発展していたかもしれない。

また、ミサイル運用の安全性に定評があるインドが今回、「誤射」後すぐにパキスタン側に連絡しなかったことから、パキスタンの迎撃能力を測るために意図的に発射したのではないかという疑念も生じている。疑念がエスカレートしないためにもインドは説明責任を果たすべきだろう。

From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 韓国新大統領
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月10日号(6月3日発売)は「韓国新大統領」特集。出直し大統領選を制する「政策なきポピュリスト」李在明の多難な前途――執筆:木村 幹(神戸大大学院教授)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ米大統領「FRB議長は利下げを」、民間雇用

ビジネス

米ADP民間雇用、5月3.7万人増に鈍化 予想大き

ビジネス

マツダ、山口・防府工場でEV生産 既存拠点で混流 

ビジネス

ドイツ、法人税軽減策を閣議承認 460億ユーロ規模
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 10
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中