最新記事

羽生結弦

【独占インタビュー】名コーチ、ブライアン・オーサーが語る羽生五輪3連覇の可能性

2022年2月5日(土)17時20分
スーザン・ラッセル(インターナショナル・フィギュアスケーティング誌発行人)

──彼のキャリアのターニングポイントとなった瞬間は?

(14年のソチ五輪で)初めてオリンピックチャンピオンになり、彼は大きく飛躍した。自信を深め、それを機に自分の行動に責任を持ち始めた――日々の練習も、どんな音楽に乗って滑るかも、そして誰がプログラムの振り付けをするかについても。そのための手段と自信を彼に与えることができて、私たちは光栄だ。

今の彼もまさにそうだ。自分なりのルーティンがあり、全て自分一人で行い、技術面、感情面、心理面まであらゆることを自分でコントロールしている。彼は人に教わる必要はない。多くの物事を自分自身で成し遂げ、それが彼にさらなる力を与えている。

──羽生の強靭なメンタルの秘訣は?

分からない。謎だ。彼は自分と自分の本能を信じていて、やる気に満ちている――4回転アクセルの成功であれ、三度目のオリンピック金メダルであれ。常に進化し、ハードルを上げ続けている。

27歳にしてブレない軸があること、全日本でのあの滑り......。彼のメンタルの強さが分かるだろう。

──羽生はあなたにとって特別な教え子?

そうだ。彼のような選手は教えたことがないし、二度と教えることもないだろう。ユヅは私にとって最も長年の教え子。10年間一緒にやってきて、本当に多くのことを経験してきた。怪我も、傷つく出来事も、勝利も、新型コロナも。

――羽生に最も影響を与えたアドバイスは何だと思うか?

私は常に、心を込めてスケートをすることを話してきた。頭で考えて賢く滑り、でも同時に情熱をもって滑る。そのバランスを見つけることだ。

──彼の業績の中で最も忘れがたいのは?

(平昌での)五輪二連覇だと思う。彼はひどい怪我をしていて、小さな一歩を積み重ねてあの次元にたどり着いた。ショートもフリーも素晴らしかった。あの時が一番心に残っている。

──誰かが4回転アクセルに挑む日が来ると思っていた?

自分が生きているうちに見られると思っていた。4回転の競争が始まって、あとは時間の問題だった。誰かがやるとすれば、それはユヅルだ。彼は目標を定めたら、成功するまで挑み続ける。健康でさえあれば成し遂げられるはずだ。

──北京五輪で羽生は金メダルを取れるだろうか?

全日本のような滑りができれば十分に勝てると思う。今回が彼にとって最高の五輪になる可能性はある。

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる

ワールド

米空母、南シナ海から西進 中東情勢緊迫化

ビジネス

ECB、政策の柔軟性維持すべき 不確実性高い=独連

ワールド

韓国、対米通商交渉で作業部会立ち上げ 戦略立案へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中