最新記事

朝鮮戦争

バイデン政権、南北朝鮮の「終戦宣言」に舵切る 文政権と連携

Biden Commits to North Korea Peace as U.S., South Korea Discuss Ending War

2021年11月30日(火)18時32分
トム・オコナー
金正恩(左)と文在寅

2018年4月の南北首脳会談の際に笑顔で握手を交わした金正恩(左)と文在寅 Korea Summit Press Pool/Pool via Reuters

<これまで何度も提案されながらも実現しなかった終戦宣言に向け、アメリカ・韓国・中国・北朝鮮の思惑が一致し始めた?>

ジョー・バイデン米政権は、朝鮮戦争の「終戦宣言」の可能性を探る議論を韓国と進めており、それを通じて北朝鮮との和平達成を目指している。

韓国・統一省のある当局者は本誌に対し、アメリカと韓国の間で話し合いが進められていることを認めた。この人物はまた、具体的な時期は明かさなかったものの、この問題については以前にアメリカと北朝鮮の間でも議論が行われたと述べ、「アメリカと韓国との話し合いがまとまれば、北朝鮮と改めて協議を行って、問題解決の道が見えてくるだろう」と語った。

アメリカと北朝鮮は、ドナルド・トランプ前政権時代に前代未聞のレベルの対話に乗り出した。2018年には韓国と北朝鮮の間で3回の首脳会談が行われ、また史上初の米朝首脳会談が行われた。さらに翌2019年には再び米朝首脳会談が行われ、夏には米朝韓3カ国の国家元首による会合が行われた。

この頃に、朝鮮戦争をきっぱりと終わらせる和平条約も提案されていた。アメリカが支援する韓国と、中国およびソビエトが支援する北朝鮮が戦った朝鮮戦争では、1950年から1953年までの戦闘の後に休戦協定が締結された。だが戦闘行為が停止しただけで正式な和平協定は結ばれておらず、厳密には現在も戦争状態が続いている。

任期切れを控えた文在寅の狙い

バイデン政権のある高官は、先日ウェブメディアのポリティコが報じた米韓協議については直接言及しなかったものの、バイデン政権として、引き続き南北朝鮮との和平を追求していく考えを改めて示した。

この高官は本誌に対して、「アメリカは今後も、北朝鮮との対話および外交努力を通して、朝鮮半島の恒久的な和平実現に注力していく」と述べた。「我々は今も、北朝鮮と外交的に関与する準備がある」

(前述した)韓国統一省の当局者は、終戦宣言を目指す動きは、2022年5月に任期満了を迎える韓国の文在寅大統領の政治目標に沿ったものだという証拠を示した。

「韓国政府は、朝鮮戦争の終戦宣言を推し進めることで、68年間に及ぶ異常な休戦状態に終止符を打ち、停滞している朝鮮半島の非核化交渉を再開させることを目指している」とこの高官は述べた。

朝鮮戦争を正式に終結させることが、当事者である各国にとって、ほとんど犠牲を払うことなく、より幅広い和平の枠組みを実現するための足がかりになり得るとも説明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権の対中AI半導体輸出規制緩和を禁止、超

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米利下げ観測で5週ぶり安

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、FRBの利下げ期待が支え

ワールド

ウクライナ外相「宥和でなく真の平和を」、ミュンヘン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中