最新記事

医療

米医薬品大手イーライリリー、アルツハイマー新薬を年末までに米当局に申請予定

2021年8月4日(水)10時59分
米医薬品大手・イーライリリー

米医薬品大手・イーライリリーは8月3日、開発中のアルツハイマー型認知症治療薬について、年末までに米当局に承認申請する計画だと明らかにした。同社株は4%上昇した。3月、ニュージャージー州で撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)

米医薬品大手・イーライリリーは3日、開発中のアルツハイマー型認知症治療薬について、年末までに米当局に承認申請する計画だと明らかにした。同社株は4%上昇した。

米食品医薬品局(FDA)が今年6月に米バイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症の治療薬「アデュカヌマブ」(製品名・アデュヘルム)を承認したことを受けて、イーライリリーなど製薬会社は、同様の新薬開発を競っている。

イーライリリーは、当局に提出予定の新薬候補「ドナネマブ」の中間段階のデータで、同薬が他の治療方よりも効果的にアルツハイマー型認知症患者の脳内に蓄積するたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を除去することが示されたと説明した。

同社の最高科学責任者、Daniel Skovronsky氏は投資家への決算説明会で「アミロイドプラークを下げることが良いことだと信じているなら、最もアミロイドプラークを減らす薬を望むことになるだろう」と述べた。

また「認知機能関連のデータが得られるまでは、薬を使いたくないと言う医師もいるだろう」と語った。

FDAは、患者の利益を示す決定的な証拠がないまま、外部の専門家からなる委員会の反対を押し切りアデュヘルムを承認し、批判を浴びている。

イーライリリーは、新薬候補が患者の認知機能低下を遅らせる効果もあることを証明するため第3相試験を行っており、この試験は2023年までに終了する予定だと明らかにした。

FDAは6月にアデュヘルムを承認したが、通常の審査過程に比べて短期間で承認した。そのため、別途、検証試験を実施することを求めている。

FDAの承認はアルツハイマー型認知症の治療薬を長い間待ち望んでいた患者や医師から歓迎されたが、承認プロセスやバイオジェンとFDAの関係を巡り議会が調査を行っている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中