最新記事

韓国

韓国メディアが連日報道、米日豪印「クアッド」に英国参加の意向

2021年2月10日(水)17時40分
佐々木和義

「クアッド」に英国参加を「日英同盟復活」と韓国紙は報道...... Stefan Rousseau/REUTERS

<米国と日本、オーストラリア、インドの4カ国が形成する枠組み、通称Quad(クアッド)。参加に消極的な韓国に代わって、英国が参加する可能性が浮上した。その動向に韓国メディアが注目している...... >

米国のサリバン国家安保補佐官が1月31日、米国と日本、オーストラリア、インドの4カ国が形成する枠組み、通称Quad(クアッド)が、インド・太平洋政策の土台になるだろうと述べ、発展させる意向を示した。

クアッドはトランプ前政権が主導した中国を牽制する協議体で、2019年9月にニューヨークで第1回会合が開かれ、20年10月には東京で外相会合が開催された。

トランプ政権の政策を否定するバイデン政権が継承しない可能性が指摘されていたが、バイデン新大統領は28日の日米首脳電話会談で菅首相に継承すると伝えていた。

米国がクアッドを拡大させる意向を示すなか、参加に消極的な韓国に代わって、英国が参加する可能性が浮上した。一方、韓国の参加に対する圧力も強まると見られており、韓国メディアが注目している。

消極的な韓国に代わり英国がクアッドに参加か

韓国中央日報系列の中央サンデーは、クアッドは、安倍晋三前首相が提案した中国を牽制するインド・太平洋戦略にトランプ前大統領が共感して発足した協議体であり、日米関係を重視するバイデン政権が継承したと分析する。バイデン政権は、クアッド初の首脳会談をオンラインで実施する調整に入ったという。

クアッド東京会議に先立つ昨年 9月16日、マーク・エスパー米国防長官が「米国と日本、オーストラリア、韓国、シンガポールなどを考えなければならない」と韓国を加えた「クアッド・プラス」構想を提唱した。

一方、当時の康京和韓国外交部長官は、韓国はクアッド・プラスに招待されていないとした上で、「他国の利益を排除するいかなることも良いアイデアではない」とクアッド参加を否定した。韓国は「軍事は米国、経済は中国」という二股外交を掲げており、中国を刺激するクアッドへの参加を避けた形だ。

クワッド参加に否定的な韓国に代えて英国が加わる可能性が浮上した。英国は、民主主義陣営10カ国が協力して中国に対抗する「D10」構想を提唱。今年、議長国を務める先進7カ国首脳会議(G7サミット)に韓国とオーストラリア、インドを招待すると明らかにし、クアッドに参加する意向を示した。

英国のクアッド参加意向に中国が反発。中国官営メディアの環球時報は「英国は太陽が沈まない帝国を持っていない」とし、「英国は軍艦クイーン・エリザベス号を南シナ海に配備すると伝えられ、香港特別自治区や新疆ウイグルなどの中国内政にも干渉している」と批判した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ノーベル平和賞のマチャド氏、「ベネズエラに賞持ち帰

ワールド

ドイツ経済、低成長続く見通し 財政拡大でも勢い限定

ビジネス

IEA 、来年の石油供給過剰の予測を下方修正

ワールド

ロシア外相 、ウクライナ巡る米国との誤解解消と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 8
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中