最新記事

人権問題

バイデン政権、中国のウイグル弾圧あっても北京冬季五輪への選手団派遣に変更ない

2021年2月4日(木)10時20分

サキ米大統領報道官は記者会見で、2022年に中国の北京で開催が予定されている冬季五輪について、米選手団の派遣計画に変更はないと述べた。写真は2020年10月、張家口の五輪村で撮影(2021年 ロイター/Thomas Peter)

サキ米大統領報道官は3日の記者会見で、2022年に中国の北京で開催が予定されている冬季五輪について、米選手団の派遣計画に変更はないと述べた。

人権擁護団体は中国政府による人権侵害を批判し、北京冬季五輪開催に異を唱えている。昨年9月には160を超える団体が連名で国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送り、北京での冬季五輪開催を再考するよう要請した。

議会上院の共和党議員の一部は2日に冬季五輪の開催地を北京から変更するよう求める決議案を提出していた。

サキ氏は「北京五輪に関して現時点でわれわれの立場や計画を変更することについて話し合っていない」とし、「同盟国や友好国と緊密に協議し共通の懸念を明確にして共に対処するが、米国としての計画変更について現時点で議論されていない」と説明した。

トランプ前政権は1月の政権交代の直前に、中国政府による新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧は、国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと認定。バイデン政権のブリンケン国務長官は先週、同認定への支持を表明した。

それでもなお、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は声明で「五輪のボイコットには反対する。選手に悪影響を与える一方で、国際問題に対する効果的な対応ではないことが示されてきたからだ」とした。

「より効果的な行動は、世界の各国政府と中国が人権や政治の問題について直接対話することだ」と訴えた。

非政府組織(NGO)のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は3日、IOCが「中国政府の深刻な人権侵害に正式に立ち向かわずにいることは、オリンピックが『世界を変える力』とする自らの主張を台無しにしている」と非難した。

ロイターはオリンピックのスポンサー企業15社にコメントを求めた。コカ・コーラやゼネラル・エレクトリック(GE)、クレジットカード大手ビザといった米企業が含まれる。

回答があったのは独保険大手アリアンツのみで、人種差別は「一切容認しない」との立場を示した上でスポンサーは降りない方針だと説明。

「当社は人権について当社と異なる考えがある国も含めて70カ国以上に事業展開している。そういった国での当社の存在が現地の人々の繁栄と安全に貢献していると強く信じている」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査が待っている
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民の避難に新ルート開設 48
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中