最新記事

集団免疫

コロナ無策のトランプ政権は密かに集団免疫の獲得を目指していた?

HHS Adviser Told Health Officials to Use Herd Immunity

2020年12月17日(木)16時57分
ナタリー・コラロッシ

マスクを拒否し、大規模集会を開き続けたトランプは集団免疫論者だった? Carlos Barria-REUTERS

<新型コロナ感染症を軽視し続けたトランプ政権で、保健福祉省の元顧問が「子供や若者をどんどん感染させろ」と主張していたことが明らかになった>

トランプ政権で一時期、保健福祉省の顧問を務めていたポール・アレクサンダーが新型コロナウイルス対策として集団免疫の確立を繰り返し提言していたことが、政治ニュースサイト・ポリティコが公開した電子メールで明らかになった。

メールには、重症化リスクの低いアメリカ人をどんどん感染させて、集団免疫を獲得すべきだと書かれていた。

ポリティコは下院監視・政府改革委員会から問題のメールを入手した。

「ほかに方法はない。集団免疫が唯一の道だ。そのためには、重症化リスクの低い集団をウイルスにさらすこと。それしかない」保健福祉省のナンバー・ツーであるマイケル・カプト次官補(報道担当)の顧問だったアレクサンダーは、カプトをはじめ同省幹部7人に宛てた7月4日付けのメールでそう述べていた。

「乳幼児、子供、10代、若者、若い成人、基礎疾患のない中年などは、リスクがゼロかほとんどない......彼らを利用して集団免疫を獲得すればいい......彼らをどんどん感染させることだ」

その数週間後には、米食品医薬品局のスティーブン・ハーン長官、カプト、そのほか8人の高官にメールを送り、「(ウイルスを)大量に拡散させ、若年層を感染させて......自然免疫......自然曝露」を目指すよう提言していた。

「子供にマスクをさせるな」

カプトはメールを受けて、保健福祉省の科学顧問に集団免疫の理論について詳細に調査するよう命じた。

アレクサンダーは、大学もオンライン授業をやめて、通常どおり講義を行い、若年層の感染率を上げるべきだと主張していた。

「われわれの最強の武器を戦場に送り込むべきだ」と、米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長に宛てた7月27日付のメールには書かれている。「比較的若い健康な大人、子供、10代、若者をしっかりと感染させ、周囲に広げさせ、集団免疫を獲得すれば、感染拡大は止まる」

このメールが送られた当時、アレクサンダーはカプトが最も重用する顧問だった。カプトは2016年の大統領選でトランプ陣営の選挙戦略を取り仕切り、トランプの大統領就任後に政治任用で保健福祉省の要職に就いたが、公衆衛生の知識は皆無だったため、カナダ人の専門家アレクサンダーを顧問に迎えたのだ。

だがアレクサンダーは今年9月半ばに顧問の職を解かれた。子供にマスクの着用を推奨しないようアンソニー・ファウチ米国立アレルギー・感染症研究所所長に圧力をかけたことや、子供が感染を広げるリスクを指摘したCDCの報告書にケチをつけたことが明るみに出て、批判が集中したためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUとG7、ロ産原油の海上輸送禁止を検討 価格上限

ワールド

欧州「文明消滅の危機」、 EUは反民主的 トランプ

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議

ワールド

米、台湾・南シナ海での衝突回避に同盟国に負担増要請
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中