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2020米大統領選

史上初、黒人女性の副大統領候補ハリスは、アメリカの分断を修復できるのか

Kamala Harris Makes History as First Black Woman VP Nominee

2020年8月12日(水)18時20分
アイドリアン・カラスキージョ

アメリカは今、同時発生した3つの危機にさらされている。国民全体の健康に影響をおよぼすパンデミック、終わりが見えない景気後退、警察による黒人差別の問題だ。ハリスはこうした現状下で、副大統領候補に選ばれた。

しかしこのことは黒人女性を元気づけている。教科書にはほとんど白人ばかりの大統領と副大統領の顔が並んでいるが、そこにもうすぐハリスの顔が加わるかもしれないからだ。

「黒人の少年少女だけでなく、あらゆる人種の子供たちすべてが、どんな外見であろうと、どこに住んでいようと、自分たちは十分に優れた、重要な存在であり、自分たちの声もまた代弁されるべきだと理解できるような、多様性の決定的な具体例になる」と、黒人女性運動家のアンジェラ・ライは語った。

パンデミックの状況次第ではあるが、両候補が手を取り合う伝統的なセレモニーを楽しみにしていると、民主党関係者は本誌に語った。バイデンとハリスがそれぞれの配偶者と共にステージに上がり、バラク・オバマ夫妻もそこに加わって、全員が手に手を取り、腕を上にあげるその姿は、テレビ画面を通じてアメリカ国民に前向きなメッセージを送るだろう、と。

人種の融合を象徴するステージ上の人々の姿は、トランプ政権下のホワイトハウスのイメージとは大きく異なって見えるだろう、と民主党関係者は言う。

「彼らの姿は新たな時代を示している」と、ゴンザレスは言う。「今の大統領(トランプ)は、特定の支持層にしか理解できない表現を用いるだけではない。人種差別的な発言によって人種と階級で国民を分断しようとしている。バイデンとハリスの組み合わせは、アメリカ全体を高揚させる。そこにあるのは国民同士の敵対ではなく、真の団結だ」

<関連記事:バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

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