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米暴動

トランプの着々と進む「戦争」準備、ワシントン一帯に兵を配備

Exclusive: Trump Moves Military Forces to Near-Wartime Alert Level in D.C.

2020年6月3日(水)17時50分
ウィリアム・アーキン(元陸軍情報分析官)

マーク・エスパー国防長官とミリー将軍はホワイトハウスで1日、連邦任務に携わる州兵動員の拡大について話し合った。エスパーは大統領と州知事らの電話会議にも参加した。電話の会話のなかで、エスパーはアメリカの街頭を制圧すべき「戦場」と呼んだ。トランプが何度も繰り返してきた表現だ。

統合参謀本部議長であるミリー将軍は、米軍の高官という立場にあり、大統領にとって最も重要な正規の軍事顧問だ。だが、彼はいかなる部隊も指揮していないし、軍の指揮系統にも入っていない。

ホワイトハウスの内情を知る2人の国防総省筋から本誌が得た情報によれば、エスパー長官もミリー将軍も、現在の暴動に軍を巻き込もうとするトランプの動きについて、その有用性、妥当性、合法性に何ら疑問を呈していない。

ミリーを司令官に指名するにあたり、トランプはミリーが「様々な州がこれまで取ってきた対策を嫌っている」と語っている。だがミリーも国防総省もミリーの見解や新しい役割について公式発表を行っていない。夜間外出禁止令が出た2日夜、ミリーはワシントンの通りを歩いているところを不用意に目撃されたりもしている。2日にトランプがホワイトハウスの向かいにある聖ヨハネ聖公会教会で写真撮影を行い、宗教の政治利用と非難を浴びたときも、エスパーとミリーは迷彩服姿で付き従っていた。トランプがその気になれば、周囲に止める者はいなそうだ。

(翻訳:栗原紀子)

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