最新記事

宇宙

宇宙飛行士が語る新型コロナ時代を生きるヒント

The View From Space

2020年5月23日(土)17時00分
アリストス・ジョージャウ

宇宙遊泳中のマッシミーノ JSC/NASA

<ハッブル宇宙望遠鏡の修理にも携わった元飛行士が、宇宙で考えた孤独と絆と健康の意味>

ハッブル宇宙望遠鏡は息をのむほど美しい天文画像を次々と地上へと届け、私たちの宇宙の認識に革命をもたらした。1990年4月24日の打ち上げから30周年を迎え、スペースシャトル「コロンビア」と「アトランティス」で2002年と09年にハッブルの修理に携わった元NASA宇宙飛行士のマイク・マッシミーノに、本誌アリストス・ジョージャウが話を聞いた。

◇ ◇ ◇


――宇宙飛行士の目から見て、ハッブル宇宙望遠鏡の重要性はどこにある?

2つの視点から見ることができると思う。1つは科学的成果。個人的には、これまでに作られた中で最も偉大な科学機器だと思う。訪れることが夢でしかなかった場所に私たちを連れていってくれた。天文学者だけではなく、一般の人たちもハッブルの画像を通じてその価値を理解できる。

技術的にも素晴らしい成果だと思う。ハッブルは大気圏外の真空を時速約2万8000キロで移動する驚異的な工学装置だ。望遠鏡の精度も圧倒的に高い。メンテナンスや修理は宇宙飛行士が行う前提で造られているが、作業時間は限られている。しかも宇宙服を着て視界が狭い状態で作業しなければならない。

――あなたは実際に望遠鏡の修理を行った。

私は4回の宇宙飛行を経験しているが、どれも鮮明に覚えている。大きな期待と少しのストレスが入り交じっていたが、やるべき仕事に集中した。ハッブルは非常に繊細な装置なので、細心の注意を払わなければならなかった。

また、(ハッブルを修理できる)機会が数少ないことも分かっていた。特に最後のミッションでは、私たちがやらなければ二度とチャンスはなかった。だから、できるだけ多くのことをやろうとした。

宇宙遊泳をしているときの眺めは、宇宙全体が目の前に迫ってくるような、まさに特別な経験だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中