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中国、台湾に「挑発的」空軍演習やコロナ関連のフェイクニュースで圧力

2020年3月3日(火)19時00分

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、中国は「挑発的」な空軍演習を台湾近辺で行ったり、混乱を招くためにウイルスに関する偽ニュースを拡散したりして、台湾への圧力を強めている。写真は台湾で2018年1月撮影(2020年 ロイター/TYRONE SIU) 

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、中国が「挑発的」な空軍演習を台湾近辺で行ったり、混乱を招くために新型コロナウイルスに関する偽ニュースを拡散したりして、台湾への圧力を強めている。台湾の安全保障当局者らが明らかにした。

先月、中国空軍が台湾近隣で演習を行っているとの報告が3件あったが、うち2件で台湾空軍の戦闘機がスクランブル発進したという。

2人の関係者によると、1件では中国戦闘機がレーダーで台湾機をロックオンした。こうした行為は、戦闘時にはミサイル発射に先駆けて行われるものだ。関係者の1人は「これは中国による非常に挑発的な行動だ」と述べた。

台湾空軍は、この件は認識していなかったが、台湾近隣での中国軍の動きは把握しているとした。

中国国防省にコメントを求めたが、回答はない。

また、台湾の呉外交部長(外相)は先月29日、新型ウイルスを巡り中国が偽ニュースを使ったサイバー戦争を仕掛けていると指摘した。

偽ニュースには、台湾が新型ウイルスの感染者や死亡者の本当の数を隠しているといったものや、蔡英文総統が感染したという内容のものが含まれており、台湾当局は即座に否定した。

台湾当局は、これまでに42人が感染し、1人が死亡したと公式に発表している。

ネットへの投稿には、中国でのみ使われる表現や、台湾では使われていない簡体字などを使ったものが多くあるという。

中国の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室はロイターに宛てた文書で、台湾の与党・民主進歩党(民進党)は、中国が偽ニュースを流していると非難することで「うそ」を拡散しており、中台間の憎悪をあおっていると主張。「民進党はウイルスを政治的に操作し続けている」とした。

*内容を追加しました。

[ロイター]


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