最新記事

中国

敗れたのは習近平──台湾総統・蔡英文圧勝

2020年1月15日(水)12時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

注目すべきはトランプ大統領が同時(アメリカ時間12月30日)に、「2020国防権限法案」に署名し、同法が成立したことである。同法は今後、アメリカの国家情報機関に対して、「台湾が中国の動きを見極め、(中国の干渉を)食い止めるのを支援し、自由で公正な選挙を行えるようにアメリカの情報機関が努力したことを米議会の関連委員会に報告する義務」を要求している。

つまり、アメリカの「国防権限法」と台湾議会の「反浸透法」はペアで動いていたのである。

同法にはほかにも、「アメリカは台湾とのサイバー・セキュリティー分野における連携強化」、「台湾との安全保障分野における交流強化や合同軍事演習の実施」、「台湾の防衛能力確保(武器支援)」などが盛り込まれている。また同法は「台湾旅行法に基づいた米台高官の交流促進」や「米軍艦による定期的な台湾海峡の通過を続行する」ことも強く要求している。

米台が緊密に連携し合って北京政府に対抗する米台協力体制を構築していることが見えてくる。

特にサイバー攻撃に関しては北京が台湾を隠れ蓑のような中継点としてアメリカに攻撃をかけている事実があるからだ。

だからアメリカは北京に対抗して台湾の利益を守ることはアメリカを守ることだとみなしている。

台湾回帰する大陸の台湾大手企業

一方、米中貿易戦争のあおりを受けて、中国大陸で製造した他国の製品にも、アメリカにより高関税がかけられる。そこで中国大陸に進出している多くの他国の企業が中国大陸から撤退して第三国に生産拠点を移動させ始めているが、中でも台湾の大手企業が台湾に引き揚げる動きを加速させていることが注目される。

台湾政府の経済部投資台湾事務所が2019年11月28日に発表したデータによれば、既に156社の台湾企業が大陸から台湾に引き揚げており、台湾への新しい投資総額は7034億ニュー台湾ドル(約2.58兆円)で、56,759の職位を台湾に提供することができるという。

これに対して北京政府は台湾企業を撤退させまいとしてさまざまな妨害を試みている。たとえば台湾が大陸で最も多く投資している地域は蘇州で、 蘇州の台湾企業の数は11000社に達し、蘇州の外資の3分の2は台湾資本だが、中国政府は台湾企業が大陸から撤退できないように、台湾企業が使用している蘇州工場の不動産などは、最低3年あるいは5年は売却することができないなどの法令を出して規制しようとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減

ビジネス

米KKRの1─3月期、20%増益 手数料収入が堅調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中