最新記事

トランプ弾劾

米上院、トランプ弾劾裁判を開始 21日から審理

2020年1月17日(金)08時45分

米上院でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判が16日始まった。来週21日に冒頭陳述が行われ審理が開始される。写真は上院に入る検察官役の下院議員ら。写真はSenate TVの動画から(2020年 ロイター)

米上院でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判が16日始まった。裁判長を務めるロバーツ最高裁判事が上院本会議場で宣誓したほか、陪審員役を務める上院議員が同意書に1人ずつ署名した。来週21日に冒頭陳述が行われ審理が開始される。

一方、米政府監査院(GAO)は同日公表した報告書で、ホワイトハウスによる昨年のウクライナ軍事支援凍結について、議会で法制化された予算を大統領自身の政策の優先順位により使い分けることは認められていないとし、法律違反だったと結論づけた。

ウクライナ支援の凍結は下院の弾劾訴追の根拠の1つとなっている。

弾劾裁判で首席検察官役を務める下院情報特別委員会のシフ委員長は上院本会議場で昨年12月18日に下院が可決した弾劾訴追決議を読み上げた。弾劾決議は、ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領の権力乱用と議会妨害の2つの条項で構成されている。

民主党は総額3億9100万ドルのウクライナ支援の凍結は、トランプ氏の政敵である民主党のバイデン前副大統領を捜査するようウクライナ政府に圧力を掛ける目的があったと主張している。

同軍事支援の予算は、ウクライナ政府による親ロシア派武装勢力の制圧のために米議会が承認していた。昨年9月に支援は実施された。

GAOは報告書で、大統領は、法律で規定された特定の状況下でのみ予算の執行を保留できるという「厳密に限定された権限」しかないと指摘。政策目的で予算の執行を保留するのは認められていないとした。

ただ、GAOは政権高官らを訴追する権限はなく、その判断に法的拘束力もない。それでもなお、議員らはGAOの報告書は客観的で信頼に足るものだと見なしている。

民主党のペロシ下院議長はGAOの結論によって「上院の文書や証人の必要性が一層強まった」と強調。弾劾裁判では証人招致や新たな証拠提出が行われるかどうかが重要な論点となっており、審理期間の長さを決定する要因にもなる。

弾劾裁判で有罪・罷免されるには3分の2の賛成が必要だが、上院の共和党53人はいずれもトランプ氏解任を支持しておらず、裁判でトランプ氏が有罪となる可能性は低いとみられている。

*内容を追加しました。

[ワシントン 16日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中