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銃社会

5歳の弟が7歳の兄を射殺──偶然見つけた父親の銃で

2018年4月3日(火)18時20分
ギリアン・エデベーン

オモチャの銃と思って人を撃ってしまった子供の心の傷をどう償うのか Carlos Jasso-REUTERS

<家のなかにある銃で子供が犠牲になる事件も後を絶たないというのに、それでもアメリカは銃を捨てられない>

米中部ミズーリ州セントルイスで3月31日、両親の寝室でお菓子を探していた5歳の男の子が、タンスの引き出しの中から偶然見つけた銃を持ち出して発砲。頭に弾を受けた7歳の兄が死亡した。男の子の家族が明らかにした。銃による被害情報を集めている米非営利団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」よれば、銃で子供が死傷した事件は今年に入って150件目。

兄のジェルモン・ペリー(7)は撃たれたとき、部屋でビデオゲームをしていた。家族によれば、事件当時、ジャーモンと2人の兄弟は2階にいた。セントルイス警察も事実関係を認めた。

「予備捜査の段階で、3人の兄弟は2階に、両親を含む大人たちは1階にいたと判明した」と、警察当局の報道官は言った。「男児が別の部屋から持ち出した銃を発砲し、それが兄の頭部に命中したようだ。銃は家で押収した。より詳しい状況については捜査中だ」

発砲直後、駆けつけた救急隊員がジェルモンを病院に搬送したがすでに重体で、数時間後に死亡が確認された。

衝撃を受けている家族に代わって取材に応じた代理人は、男の子は偶然見つけた銃をおもちゃと勘違いしたのだろう、と語った。地元紙セントルイス・ポスト・ディスパッチによれば、銃はホルスターに入れた状態で、タンスの一番上の引き出しに保管されていた。銃の所有者は、父親のエリコ・ペリー(39)だという。

死んだ兄を探す弟

「子どもが銃を見つけるなんて、父親には思いも寄らなかったはずだ」と、代理人は言った。

残された2人の兄弟は、「モンモン(ジェルモン)はどこ?」と尋ねるという。

警察では殺人課と児童虐待課が『不審な突然死』として捜査に当たっている。

全米ライフル協会(NRA)によれば、ミズーリ州は銃規制が全米で最も緩い州の1つだ。

ガン・バイオレンス・アーカイブによれば、ジェルモンと同じ3月31日には、女の子も家庭内の銃の犠牲になっている。米フロリダ州の自宅にいたナイラ・ジョーンズ(4)は、母親と激しい口論になった叔父が持ち出した銃の流れ弾を口元に受けて死亡。叔父は警察に出頭し、逮捕された。

「痛ましく無意味な暴力が、また繰り返された。連鎖を断ち切らなければならない」と、マイアミのフランシス・スアレス市長はツイッターに投稿した。「人々は争いごとの解決に銃ではなく、別の方法を見つけるべきだ」

ガン・バイオレンス・アーカイブによれば、翌4月1日にも2人の子どもが負傷する発砲事件が起きている。

(翻訳:河原里香)

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