最新記事

北朝鮮

北朝鮮、追加制裁迫るなか中国製に代わり自国商品が台頭

2017年5月14日(日)09時29分

5月8日、北朝鮮への追加制裁が迫るなか、同国を訪れた人たちの大半は、中国からの輸入品に取って代わる「メイド・イン・北朝鮮」製品を、以前より多く目にすると語る。写真は首都平壌にある食料品店の店員。4月撮影(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

ニンジン味の歯磨き粉から木炭の美顔パック、オートバイや太陽電池パネルに至るまで、国際的に孤立する北朝鮮を訪れた人たちの大半は、中国からの輸入品に取って代わる「メイド・イン・北朝鮮」製品を、以前より多く目にすると語る。

米国のトランプ政権が、北朝鮮に兵器開発を放棄させようと経済制裁の強化を検討するなか、北朝鮮は軍事と経済両面の発展を目指す2重戦略を推進している。

北朝鮮で売られる消費財の大半は依然として中国製だ。しかし金正恩朝鮮労働党委員長の下、北朝鮮ではより多くの自国製品を販売する方針が取られている。それは通貨流出の回避、そして自主性を唱える主体(チュチェ)思想強化のためだ、と同国を訪れたビジネスマンは語る。

北朝鮮内で製造される製品がどの程度かを示す入手可能なデータは存在しない。同国に消費財を輸出する中国やマレーシアのような国々のデータが正確に反映していない可能性もある。

北朝鮮で生産された製品の増加によって、同国向け輸出が減少しているかについて、中国商務省はコメントを差し控えた。

国家が先導するなか、朝鮮人民軍の傘下にある高麗航空や複合企業のNaegohyangのような国内大手が、タバコやスポーツ衣料といった消費財の製造など事業の多様化を行っていると、同国の訪問者は指摘する。

ロイターの取材チームは先月、首都平壌を訪れた際、政府当局者に同行され、食料品店に行くことを許された。棚は自国製の飲料類やビスケット、他の基本的な食料品であふれていた。他の訪問者も、北朝鮮製の缶詰、コーヒー、酒、歯磨き粉、化粧品、石けん、自転車などが市内で売られているのを目にしている。

「新たに工場が稼働するにつれ、食料品のブランディングやパッケージ、原料が改善している」と、店員のRhee Kyong-sookさん(33)は話す。

店を訪れた体育教師のKim Chul-ungさん(39)は「他国で製造された飲料と比べ、北朝鮮製の飲料は本物の果実の味がする」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中