最新記事

インタビュー

Readyforのプロジェクト実行者の6割は本職をほかに持つ人

[米良はるか]READYFOR株式会社 代表取締役

2017年4月28日(金)21時31分
WORKSIGHT

Photo: WORKSIGHT

<日本初のクラウドファンディングReadyforの米良はるか氏は、働き手の価値観が変化しており、組織に依存しない働き方が波及しているという。クラウドファンディングでお金を集めれば、最初の一歩のハードルも下げられる>

※インタビュー前編:実績32億円以上、行政の資金調達も担うクラウドファンディングReadyfor

働き手の価値観は変化していて、それに対応できる企業が優れた人材を獲得できるような気がします。

READYFORはいま従業員が60人くらい*。2016年に倍くらいにメンバーが増えましたが、それができたのはここで働きたいという人と価値観をしっかり共有できたことが大きかったと思います。

若い求職者は企業の志をチェックしている

まだまだ弊社は小さなベンチャー企業で、金銭的な見返りも確約できないのに、人材を募集すると学歴や経歴のハイレベルな人がたくさん応募してくれるんです。その中でも価値観のあった人を厳選させてもらうことができました。

特に20~30代の方々は企業の有名無名に関係なく、どういう志で何をしているのか、組織や事業が世の中の共感を得ているかというところを重視している印象を受けます。背景には、そんなにお金のかからない時代になったことがあるのかもしれません。あくせく働いてまでほしいと思えるものがないし、むしろモノとは違うところで幸福度が測られる時代ですから。

そういう状況だからこそ、それぞれの会社がどういうビジョンで、どんな価値を社会に提供していこうとしているかを意識する人が増えているということなんでしょう。

プロジェクト実行者の6割は本職をほかに持つ任意の集まり

採用に応募してくる人だけでなく、Readyforのサービスを使う実行者の方々にも、組織に依存しない働き方が波及していると感じます。個人や有志のグループで自立的な活動を展開するために、Readyforを通じて資金を調達するわけです。

実際、Readyforを利用している実行者の6割くらいが会社を持たない任意団体のような人たちです。その1人ひとりは現職が公務員だったり、大企業に所属する人だったりする。つまり、組織の垣根を超えて有志が集まり、プロジェクトを運営しているということです。

少し前なら退職してベンチャー企業を作る必要があったでしょうけれども、今はそういうリスクを取ることなく、クラウドファンディングでお金を集められます。手応えをつかんだら、そこで初めて退職して新しい会社を作ればいい。最初の一歩のハードルが下がっている時代なんです。

市場規模や売上の見込みといったことに振り回されて起業をしり込みするのではなく、柔軟にいろんな人とコラボレーションして、そこから生まれる面白そうなこと、わくわくするようなことを、立場や組織に関係なく実現できたらそれはいいことだし、健全なことだと思います。

2015年の「READYFOR OF THE YEAR」を受賞した、「マギーズ東京」設立のプロジェクト** はまさにそういうつながりで生まれたものです。がんのサバイバーの方が中心となり、そこに志を同じくする人が30人ほど集まってきた。全員プロボノですが、計画通り実際に豊洲に施設を作って、初日の記念式典には現職の厚生労働大臣まで参加した。みんなのネットワークで、ここまでレバレッジがかけられるんだという素晴らしいお手本だと思います。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中