最新記事

北朝鮮

ウェイトレスに軍大佐、次の「脱北」は裕福なハッカーか

レストラン従業員13人の集団脱北や、対南工作機関大物幹部の韓国亡命が明らかになったが、アジア各地のIT企業に潜む北朝鮮のサイバー戦士たちも脱北予備軍だ

2016年4月12日(火)18時50分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

脱北するのは貧しい人民だけではない 今月8日、外貨稼ぎの柱である北朝鮮レストランの従業員ら13人が集団脱北して韓国入りしたニュースは驚きをもって受け止められた(中朝国境の町、遼寧省丹東の北朝鮮レストラン、2009年) Jason Lee-REUTERS

 今月8日、北朝鮮の外貨稼ぎの柱である北朝鮮レストランの従業員ら13人が集団脱北し、韓国へ入国したことが明らかになった。さらに、北朝鮮の対南工作機関に所属していた大佐が昨年、亡命していたことが韓国政府によって明らかになった。

(参考記事:北朝鮮レストラン「集団脱北事件」...原因は中朝関係者間のトラブル?

 韓国政府がこのような情報を立て続けに公表する裏には、4月13日投開票の韓国総選挙を前にして、朴大統領が北朝鮮に対する独自制裁の効果をアピールしながら、保守層の票固めを狙ったものという見方もある。いずれにせよ、核・ミサイルに端を発した現時点での南北対立は軍事面、心理戦、宣伝戦など、あらゆる面において韓国が押し気味に進めているように見える。

 とはいえ、北朝鮮も防戦一方というわけではない。3月初めには、GPSへの妨害電波を発信。それだけでなくフェイスブックを通じたサイバー攻撃「ハニートラップ」まで駆使しながら、攻勢に出る機会を虎視眈々と狙っている。

(参考記事:韓国要人に「美女攻撃」...北朝鮮サイバー部隊

 北朝鮮は、これまで何度か韓国にサイバー攻撃を仕掛け、それなりに打撃を与えており、決して侮るべき存在ではない。実際に攻撃を行う「サイバー戦士」の多くは、北朝鮮一の金策工業総合大学の出身者であり、韓国のIT関係者や情報機関によると、極めて優れたITエンジニア揃いだと知られている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の若年失業率、7月は17.8%に上昇

ビジネス

ラトニック米商務長官、日米関税合意の文書「数週間後

ワールド

トランプ氏、米地上軍派遣を否定 ウクライナ「安全保

ワールド

米財務長官「中国と非常に良い協議行った」、関税巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中