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中国企業

海賊版ゲームと戦う中国的方法

中国のコンテンツ企業が編み出したオンライン戦略とは

2010年6月8日(火)13時37分
アイザック・ストーン・フィッシュ(北京支局)

海賊版お断り 上海のネットカフェでオンラインゲームをする人々 Nir Elias-Reuters

 5月24〜25日、北京で第2回米中戦略・経済対話が開かれた。アメリカ側はIT分野などにおける著作権保護に関して、中国のお寒い状況を取り上げることを忘れなかった。中国の企業や闇組織は驚くほど多くの海賊版製品を手掛けており、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOに言わせれば「とんでもないほどの数だ」。

 知的所有権を侵害されているのは欧米企業だけではない。中国のコンテンツ企業も被害に遭っている。ただし彼らは収益を守るため、独創的な戦略を編み出している。

 テレビゲーム市場がいい例だ。中国ではWiiやプレイステーション、Xbox用のゲームソフトはヒットしなかったが、それは海賊版が市場価格の数分の一で買えるため。そこで中国の多くのゲームソフト企業は、集中型サーバーに接続しないと使えないゲームを設計。基本プレーは無料だが、ゲーム内で使うアイテムはオンラインで購入する形にした。

 その結果、オンラインゲーム市場は今後5年間にわたり毎年20%の成長が見込まれている。中国の大手ゲーム企業は「解決策を見つけた」と、北京を拠点にするハイテク起業家のビル・ビショップは言う。マイクロソフトなどの外国企業も学ぶ余地がありそうだ。

[2010年6月 9日号掲載]

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