最新記事
考古学

アレクサンドロス大王の親族の墓、定説が覆る!「私ならこのパズルを解ける」...骨から新事実

Bones of Contention

2024年3月11日(月)16時00分
アリストス・ジョージャウ(本誌科学担当)
アレクサンドロス大王の墓

アレクサンドロス大王の墓の可能性があるとされる遺跡を発掘するスタッフ(エジプトのシワ・オアシスで) BARRY IVERSON/GETTY IMAGES

<従来説では、ギリシャの「大墳墓」のうち第2墳墓がアレクサンドロス大王の父フィリッポス2世の墓だった。考古学だけでは解けなかったミステリー>

分析の対象となったのは、あごの骨に数本の歯、頭蓋骨の一部に腕や足の骨、いくつかの遺物──それだけだった。だが数十年に及ぶ研究を経て、古代ギリシャのマケドニア王国のアレクサンドロス大王の父や息子の眠る墓について多くのことが分かってきたと考古学者たちは言う。

紀元前336年に即位し、同323年に死亡したアレクサンドロス大王は広範囲にわたる遠征を行い、世界史上まれに見る広大な帝国を造り上げた。その版図は現在のギリシャからインド北西部に及ぶ。

アレクサンドロス大王の埋葬地は古代史の大きな謎の1つだ。当初はエジプトのメンフィスに、後にアレクサンドリアに葬られたというが、彼の墓がその後どうなったかは不明で、そもそも正確な場所も分かっていない。

だがアレクサンドロス大王の親族たちの墓が、大王の物語に新たな光を当てつつある。学術誌「考古学科学ジャーナル・レポート」で発表された最新の論文がターゲットとしたのは、ギリシャ北部ベルギナの古墳群にある「大墳墓」で見つかった人骨だ。ベルギナは古代マケドニア王国の最初の首都アイガイがあったところで、大墳墓を含めて王族の墓所が4つある。

大墳墓は、紀元前4世紀後半頃のものと考えられる3つの大きな墓の集合体だ。発掘は1970年代に行われ、マケドニア王国の王族──アレクサンドロス大王の父フィリッポス2世、大王の息子アレクサンドロス4世、大王の異母兄のアリダイオス(フィリッポス3世)──の墓だと考えられている。だが、それぞれの墓に葬られていたのが誰かについては専門家の間で激しい議論が続いていた。

過去の通説の誤りを正す

「歴史上の重要人物と関係がありそうな墓をめぐるギリシャ考古学における珍しいケース」と、論文は指摘している。

論文の主著者で、トラキア・デモクリトス大学(ギリシャ)のアントニス・バルチオカス名誉教授は「(誰の墓かという議論は)考古学だけで解決できるものではなく、形質人類学でなければ解決できなかった」と、本誌に語った。「古人類学者として、私ならこのパズルを解けると思った」

今回の研究ではギリシャとスペイン、アメリカの専門家からなる研究チームが、発掘された骨を分析するとともに、これまでの考古学と歴史学の研究データを再検討した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=急反落、ダウ768ドル安 FRBは金

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FOMC据え置き受け下落分

ビジネス

パウエル氏、後任承認までFRB議長代行へ 捜査が解

ビジネス

イスラエル、イラン情報相を排除 国防相「高官標的に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中