最新記事
東南アジア

「70年代の日本」を彷彿...発展を謳歌する「これからの国」ベトナムで見た日本企業の存在感

Seeking Growth in Vietnam

2025年3月4日(火)11時00分
岩辺智博(本誌記者)
ホーチミン市街地の電器店

大通りに面した電器店。パナソニックの認知度はベトナムでも高い TOMOHIRO IWANABEーNEWSWEEK JAPAN

<豊富な労働力と購買力上昇で盛況のベトナム市場。成長を支える日本企業が秘める「大きな可能性」と「新たな試練」とは──>

南ベトナム解放民族戦線が、サイゴン近郊に掘り進めた総距離250キロのクチ・トンネルを根拠地として戦ったベトナム戦争の終結から間もなく半世紀。ホーチミンに改称された旧南ベトナムの首都は近年、経済自由化政策「ドイ・モイ(刷新)」の下で目覚ましい発展を遂げ、トンネルも観光地へと姿を変えた。

そんなホーチミンの地下を今、再び多くの人々が行き来するようになった。今度は戦争のためではない。この国初の地下鉄が開通したのだ。

2024年12月22日に開業したメトロ1号線は日本の官民からの支援によって建設された。国際協力機構(JICA)の円借款事業として、車両など鉄道システム一式を日立製作所、各駅舎の建設を三井住友建設や清水建設、前田建設などが担った。

newsweekjp20250303045648-948d57186292c82800b6ae01526df96e74fd2420.jpg

地下鉄1号線を利用する市民 TOMOHIRO IWANABEーNEWSWEEK JAPAN

この地下鉄事業に限らず、世界有数の経済成長率を誇るベトナムの発展は、多くの日本企業によって支えられている。同国に進出している日本企業は2000社以上にも及び、なおも年々増加中だ。

「6〜8%で安定したGDP成長率と若い人材が豊富なところが魅力。海路で太平洋、陸路で中国や東南アジアの新興国にアクセスできる輸送面での優位性もASEANで随一だ」と、パナソニックエレクトリックワークスベトナム(PEWVN)社長の坂部正司は言う。20~30代が多い従業員についても「手先が器用で向上心がある。勤勉で真面目な国民性が製造業に向いている」と評価する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

G7、中東情勢が最重要議題に 緊張緩和求める共同声

ワールド

トランプ氏、イスラエルのハメネイ師殺害計画を却下=

ワールド

イスラエル・イランの衝突激化、市民に死傷者 紛争拡

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中