コラム

韓国の新型コロナウイルスの勝者は自営の小さなフライドチキン専門店?

2020年12月04日(金)18時21分

問題は、フライドチキン専門店を含めた自営業者の経営が長く続かないことである。韓国銀行の経済研究院が2017年に発表した報告書によると、飲食・宿泊業の平均開店期間は3.1年に過ぎないことが明らかになった。フライドチキン専門店の閉店数は2015年から開店数を上回り、2018年には約8,000店が閉店に至った。同時点の開店数6,200店を大きく上回っている。

新型コロナウイルスの影響でフライドチキン専門店の売上が一時的に増加しているものの、製造業を中心とする韓国経済はいまだに回復軌道に乗っていない。韓国銀行等は来年には韓国経済が回復すると予想しているが、新型コロナウイルスが解決されない限り、経済回復を期待することは難しい。

当然のことであるが、韓国経済が回復しないとフライドチキン専門店の繁栄も長くは続かない。特にフライドチキン専門店の多くは開業のために退職金を使い切り、さらに多くの債務を抱えている。店がつぶれると再就職も難しく後がない。世界が新型コロナウイルスを早く乗り越え、世界経済が正常化されることを強く願うところである。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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