コラム

米中GDP逆転は日本の重大な危機...「中国と関わらない」戦略作りが急務だ

2021年06月02日(水)11時50分
米中逆転(イメージイラスト)

WENJIN CHEN/ISTOCK

<1人当たりGDPは低くても、外交やビジネスといった交渉においてGDPの大きさは絶大な威力を発揮する>

アメリカと中国のGDPが2030年前後に逆転し、中国が世界トップの経済大国になる可能性が高まっている。1人当たりのGDPなど国民生活の豊かさという点で中国はまだまだだが、国家覇権においてGDPがトップになることの意味は大きい。

他国に先駆けて、いち早く新型コロナウイルスの感染を収束させたことから、中国は以前の成長ペースに戻りつつある。アメリカもワクチン接種が順調に進んでいることから2021年1~3月期の実質GDP成長率は前期比プラス6.4%と急回復を見せた。

だがコロナ前の水準(19年)と比較すると、中国の名目GDPは約15%の増加が見込まれているのに対して、アメリカは約6%と中国が大きくリードしている。変異株など不確定要因があるので一概には言えないが、両国がこのまま従来の成長ペースに戻った場合、30年までには米中のGDPが逆転し、中国が世界最大の経済大国となる可能性が高い。

中国の都市部では、既に日本と同等かそれ以上の生活水準だが、内陸部には貧しい地域がたくさんある。全体の平均である1人当たりのGDPは日本の3分の1以下と低く、国民全員が主要先進国と同レベルの豊かさを享受できる環境にはない。

中国はすでに日本の最大の輸出先

しかしながら、外交やビジネスなど対外的な交渉力や国家覇権という点においてGDPが大きいことの効果は絶大であり、中国の台頭は日本経済に深刻な影響を及ぼすことになる。

中国経済は輸出主導型から消費主導型へのシフトが進んでおり、今後、中国の輸入は増大すると予想される。既に中国はアメリカを抜いて日本の最大の輸出先となっており、日本の製造業は中国を顧客にしなければビジネスを成り立たせることができない。

アメリカは世界最大の消費大国であり、世界から大量にモノを購入しているが、この圧倒的な購買力が交渉力の源泉となっていたのは間違いない。外交というのは、究極的には軍事力など直接的なパワーがものをいう世界だが、「売る」「買う」というビジネス関係がもたらす力学も決して無視することはできない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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