イランと米の核合意、IAEAの「強固な査察」が前提条件=事務局長

5月28日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長(写真)はイランが米国との核合意を目指して協議を進めていることに関し、合意には「IAEAのしっかりした非常に強固な査察」が前提条件になるべきだとの考えを示した。写真は4月、テヘランで撮影。提供写真(2025年 ロイター/ Iranian Atomic Organisation/WANA)
[ウィーン 28日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は28日、イランが米国との核合意を目指して協議を進めていることに関し、合意には「IAEAのしっかりした非常に強固な査察」が前提条件になるべきだとの考えを示した。報道陣に語った。
イランは欧米などと2015年に核合意を締結していたが、トランプ米大統領が第1期の18年に離脱を宣言し、対イラン経済制裁を再開すると表明した。これを受け、イランは核合意に定められたウラン濃縮度の上限3.67%を破棄し、核兵器級の約90%に近づけて最大60%にまで高めている。イランは、抜き打ちの査察を受け入れることを認めたIAEAの追加議定書の適用も取りやめた。
追加議定書が適用されるべきだという意味なのかを尋ねられたグロッシ氏は「私は非常に現実的だ」と答え、それは協議の議題にはなっていないと指摘した。IAEAは協議には加わっていないものの、グロッシ氏は米国のウィットコフ中東担当特使を含めた双方の関係者と連絡を取り合っていると説明した。
米国がイランによるウラン濃縮を一切認めることはできないと繰り返す一方、イランはウラン濃縮が不可侵の権利の「レッドライン(越えてはならない一線)」だと反発している。
グロッシ氏は「方法は必ずあると思う」とし、「これらの2つの見解を調和させることは不可能ではない」との認識を示した。