ニュース速報
ワールド

シリア政権崩壊、ロシアの影響力に危機 駐留基地存続に懸念も

2024年12月09日(月)09時32分

 12月8日、シリアのアサド政権が崩壊したことを受け、これまで同国の強力な後ろ盾となってきたロシアの地政学的影響力と、戦略的に重要な2つの駐留基地が危機に瀕している。写真は2017年、シリアのラタキア県で撮影(2024年 ロイター/RUSSIA-FLIGHTS/ Sputnik/Mikhail Klimentyev)

Andrew Osborn Maxim Rodionov

[8日 ロイター] - シリアのアサド政権が崩壊したことを受け、これまで同国の強力な後ろ盾となってきたロシアの地政学的影響力と、戦略的に重要な2つの駐留基地が危機に瀕している。

ロシア国営メディアは8日、ロシア大統領府の関係者の話として、シリアのアサド前大統領が人道的な理由で亡命を認められ、家族とともにモスクワに到着したと伝えた。

ロシアメディアは関係筋の話として、シリアの反体制派指導者らは国内のロシア軍基地と外交機関の安全を保証することに合意したと伝えた。しかし、ロシアの軍事ブロガーによると、基地周辺の状況は極めて緊迫しており、安全がいつまで保証されるか不明だという。

シリア国内のロシア軍基地は、西部ラタキア県のフメイミム空軍基地と地中海沿岸のタルトゥース海軍基地の2カ所ある。タルトゥース基地はロシアにとって地中海で唯一の修理・補給拠点で、ロシアはここを中継基地として民間軍事会社をアフリカに送っている。

このため、タルトゥースの拠点を失うことは中東、地中海、アフリカにおけるロシアの影響力に深刻な打撃になるだろうと、西側の軍事アナリストは話す。

<軍事的プレゼンスへの影響>

ロシア国防省に近く、テレグラムで130万人以上のフォロワーを持つロシアの軍事ブロガー「Rybar」は、政府の公式見解がどうであれ、シリア国内のロシア基地周辺の状況は深刻な懸念材料だと述べている。

「中東地域におけるロシアの軍事的プレゼンスは一本の糸にぶら下がっている」「高官らの決定は現地では全く関係ない」と懸念を示し、駐留基地のロシア軍は本国からの命令がない状態で、その立場を防衛するための行動を取っていないと示唆した。

ロシア艦船は安全保障上の理由からタルトゥースを離れ、沖合にとどまっている。一方でフメイミム空軍基地は、反体制派が近隣を制圧した後に事実上封鎖され、クルド人勢力はユーフラテス川の反対側にあるロシアの施設を封鎖し始めた。

ロイターはRybarの指摘を独自に確認できていない。

ロシア外務省は8日、2つの軍事施設は厳戒態勢に置かれているが、「現在のところ、両施設の安全に対する深刻な脅威はない」と表明。

また、「全ての当事者が暴力の使用を控え、政治的手段によって統治に関する全ての問題を解決するよう強く求める」とし、「そのため、ロシアはシリア反体制派の全てのグループと接触している」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:「高市ラリー」再開か、解散検討報道で思惑

ビジネス

トランプ米大統領、クレジットカード金利に10%の上

ビジネス

関税返還となった場合でも米財務省には十分な資金=ベ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用統計予想下回る 円は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 7
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 10
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 8
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 9
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中