ニュース速報
ワールド

香港、景気支援で不動産抑制策廃止へ 24年成長率2.5─3.5%と予想

2024年02月28日(水)16時27分

 2月28日、香港政府の陳茂波財政長官は、低迷する不動産市場の活性化および景気支援に向けた措置を発表した。今年の成長率を2.5─3.5%と予想した。香港で2021年撮影(2024年 ロイター/Tyrone Siu)

Clare Jim James Pomfret

[香港 28日 ロイター] - 香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は28日、予算演説を行い、低迷する不動産市場の活性化および景気支援に向けた措置を発表した。今年の成長率を2.5─3.5%と予想した。

2023年は3.2%だった。

陳財政長官は、住宅用不動産の購入抑制措置を全て廃止するとし、不動産投資信託(REIT)の譲渡にかかる印紙税を免除すると述べた。

高水準の金利や複雑な地政学環境、財政赤字の拡大などの課題を挙げ、資本、企業、観光客を呼び戻し財政均衡を回復するために不動産、観光、金融サービスにまたがる複合的な措置を発表した。

「住宅用不動産の需要側の管理措置を全て直ちに停止することを決定した。現在の経済・市場環境で、このような措置はもはや必要ないと考える」と述べ、不動産市場関連措置をさらに調整する余地があるとした。

不動産市場が過熱していた時期に導入した外国人による購入と2件目の不動産購入に対する追加印紙税も対象となる。

香港金融管理局(HKMA)も、不動産ローンの規制を調整。一部の物件について住宅購入者が借りられる資金の上限を引き上げる。

香港はかつて住宅価格が世界で最も高い都市の一つだったが、市場心理の悪化や金利上昇で21年のピークから20%急落した。今年さらに10%の下落を予想するアナリストもいる。

予算の発表を受けて香港株式市場の不動産株指数は一時2%強上昇。

ナイト・フランクの大中華圏リサーチ・コンサルティング担当責任者、マーティン・ウォン氏は「短期的には取引が刺激され、不動産市場と市場の信認回復、不動産価格の安定化につながるだろう」と述べた。

政府は中国経済低迷を背景とする本土観光客の減少に苦しむ観光産業向けに、10億香港ドル(1億2700万米ドル)以上の支援策を講じる。観光名所のビクトリア・ハーバーで花火やドローンのショーを毎月行うなど、今年上半期に80以上の大規模イベントを開催する予定だ。

香港政府は過去5年間のうち4年間で財政赤字を記録した。陳氏は「財政均衡目標の達成に向けて段階的に赤字を縮小する財政健全化戦略を採用する」と表明したが、具体的なスケジュールは明らかにしなかった。

23─24年度の連結財政赤字は1016億香港ドルで、市場予想と一致。24─25年度の見通しは481億香港ドル。

政府債務の対域内総生産(GDP)比は24─25年度から28─29年度まで9─13%になる見通し。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏裁判、ジョージア州選挙介入事件も遅れ

ワールド

フィリピンGDP、第1四半期は前年比+5.7%に加

ビジネス

バランスシート圧縮減速、市場のストレスを軽減=米N

ビジネス

世界最大級のCO2回収・貯留施設稼働、アイスランド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 5

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中