ニュース速報
ワールド

ガザ国連施設地下にトンネル、イスラエル軍「ハマス指揮所」と主張 

2024年02月11日(日)18時53分

イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ北部にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)本部の地下につながる長さ約700メートルのトンネル網を発見したと発表した。イスラム組織ハマスが同機関を悪用した新たな証拠だとしている。2月8日、ガザで撮影(2024年 ロイター/Dylan Martinez)

Dylan Martinez

[パレスチナ自治区ガザ 10日 ロイター」 - イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ北部にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)本部の地下につながる長さ約700メートルのトンネル網を発見したと発表した。イスラム組織ハマスが同機関を悪用した新たな証拠だとしている。

UNRWAを巡っては、昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲攻撃に職員が関与したとの疑惑が浮上し、内部調査を進めている。疑惑を受けて米国など十数カ国が資金拠出を一時停止した。

イスラエル軍は、外国メディアの記者をこのトンネルに案内した。UNRWA本部近くの学校の隣に地下へ続く垂直の坑道があり、そこからトンネルに入った。コンクリートで壁を固めた内部は息苦しい暑さで、狭い通路をところどころ曲がりながら20分ほど歩くと、UNRWA本部の下に到達したと案内役の同軍中佐は説明した。

トンネルの長さは約700メートルで深さは18メートル。数か所で分岐し、小部屋も設けられていた。事務作業をするスペースもあり、中には鋼鉄製の金庫も設置されていたが、扉が開けられ空の状態だった。タイル張りのトイレのほか、コンピューターのサーバーや工業用バッテリーが積まれた部屋もあった。

案内役の中佐は、「全てがここから指揮された。あなた方が歩いてきたトンネルの電源は、ここから供給された。ここは情報の中央指揮部隊であり、ハマスの情報部隊が戦闘のほとんどをここで指揮した」と述べた。この中佐は、イドという名しか明かさなかった。

同中佐によると、ハマスはイスラエル軍の侵攻を前にこの場所から撤退し、通信ケーブルを切断したとみられる。地上部分を案内した際、同中佐はUNRWA本部の床を走る同ケーブルを記者らに示した。

UNRWAは声明で、紛争開始から5日後の10月12日に同本部を撤退しており、イスラエル軍の発表について「確認やコメントはできない」とした。

また、「UNRWAには、使用している施設の地下に何があるのかを軍事的に検査する専門性や能力がない。過去にUNRWAの地下に疑わしい空洞が見つかった際には、ガザの事実上の支配勢力(ハマス)とイスラエル当局を含む紛争の当事者に、速やかに抗議の書簡を送っている」としている。UNRWAは、ガザ地区で1万3000人を雇用し、長年に渡って援助を頼りとする人々のライフラインとなってきた。学校や診療所などの社会サービスを運営したり、支援物資等の配布を行っており、純粋に人道的な活動を行っていると説明している。イスラエルは、同機関には「ハマスが浸透」していると主張。ハマス側は、民間施設での活動を否定している。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、27年までの国防用レアアース国内供給網確立にめ

ビジネス

ヘッジファンド、4週連続で中国株買い コールオプシ

ビジネス

USスチールが異例の書簡、日鉄による買収で米同業が

ワールド

海面上昇で石油輸出に影響も、中国シンクタンクが警鐘
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の大群、キャンパーが撮影した「トラウマ映像」にネット戦慄

  • 4

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 5

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 6

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中