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政治家の通話記録入手、より厳格に制限へ=米司法長官
6月14日、ガーランド米司法長官(写真)は、政治家の通話や電子メール記録を司法省が入手することをより厳格に制限する考えを示した。米首都ワシントンで11日、代表撮影(2021年 ロイター)
[ワシントン 14日 ロイター] - ガーランド米司法長官は14日、政治家の通話や電子メール記録を司法省が入手することをより厳格に制限する考えを示した。トランプ前政権下で同省が当時野党だった民主党の有力議員や報道関係者などのこうした記録をひそかに手に入れ、政治的に利用しようとしていたと伝えられたことを受けた措置だ。
ガーランド氏は、司法捜査や訴追の手続きにおいて「政治的」なものを含め、いかなる不適切な判断も介在してはならず、この方針に背く司法省職員は誰でも厳しく責任を問われることになると警告した。
民主党指導部は13日、前政権の司法省が秘密情報漏れを捜査する一環としてアダム・シフ、エリック・スウォルウェル両下院議員の通話記録を得ていたとされる問題について、徹底調査すると表明した。両議員ともトランプ前大統領を批判していた。
こうした中でガーランド氏は、モナコ司法副長官に「立法府の記録入手に関する既存の省の方針と手続きを精査し、強化する」よう指示したと説明。三権分立の原則を重視する姿勢を確保しなければならないと改めて指摘した。
司法省のホロウィッツ監査官も11日、前政権が議員や報道関係者らの記録入手のために召喚状を用いたことと、それが「不適切な判断」に基づいていなかったかどうか調査を開始した。
ガーランド氏はホロウィッツ氏の調査に関連して措置を講じる必要性が認められれば、「ためらわずに迅速に動く」と強調した。
<政敵>
同氏はまた、この日、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)およびワシントン・ポスト、CNNの幹部らと、トランプ政権下の司法省が3社の記者の通話記録を入手した問題について協議した。
司法省は声明で、ガーランド氏がメディア代表と「生産的な協議」を行い、「強力で持続的なルールの必要性について見解が一致」したと表明した。
NYTの発行人、アーサー・グレッグ・サルツバーガー氏は文書で、司法省に対し、情報漏えいの調査中にジャーナリストの記録を取得しないとのルールを成文化するよう求めたと明らかにした。
ワシントン・ポストの発行人、フレッド・ライアン氏は文書で、情報漏えい調査に関し強制的な法的手段による記者の記録入手を控えるという新たな方針を歓迎するが、「将来の政権においても(ルールの)持続性と拘束力を持たせるための措置が必要」と指摘した。ひそかに召喚状を発行し、口外禁止の命令を出すなど、メディアに対して取った過去の行動や、入手した情報で何をしたのかについて、説明が必要だと訴えた。
下院のジェロルド・ナドラー司法委員長も、同委員会が調査を開始すると表明した。
NYタイムズは10日、トランプ政権下の司法省がアップルに対し、シフ、スウォルウェル両議員に関するデータの提供を求める召喚状を出したと報じた。同紙の13日の報道によると、アップルはまた、トランプ政権でホワイトハウス法律顧問を務めたドナルド・マクガーン氏に対し、同氏の情報提供を求める召喚状を司法省から2018年に受け取ったが、本人に伝えるのを禁止されていたと説明したという。
シフ議員は司法省がトランプ政権時代にどの程度政治化されたかについて、同省が徹底的に検証し、是正措置を講じると「全面的に信頼している」と表明した。
「大統領の友人あるいは共犯者を守るためや、大統領の政敵とされる人たちへの武器として(司法省は)決して使われるべきではない」と強調した。