ニュース速報

ワールド

中国の富裕層、香港から資産移転の可能性 「安全法」を懸念=金融筋

2020年05月28日(木)19時29分

 中国政府が制定を目指す「香港国家安全法」により、本土の当局が香港にある資産を追跡し、差し押さえることが可能になるとの懸念から、中国の富裕層が香港からの資産移転に動く可能性がある。銀行関係者などが明らかにした。写真は1月、香港で撮影(2020年 ロイター/Navesh Chitrakar)

[香港 28日 ロイター] - 中国政府が制定を目指す「香港国家安全法」により、本土の当局が香港にある資産を追跡し、差し押さえることが可能になるとの懸念から、中国の富裕層が香港からの資産移転に動く可能性がある。銀行関係者などが明らかにした。

香港市場に投資されている資産は約1兆ドルを超えているとされるが、このうち半分以上は本土の個人投資家が持つ資金だとみられている。

これまで香港は、中国との密接な関係と本土とは異なる法制度、および通貨ペッグ制の恩恵を受けていたが、資本や人材の流出により、金融センターとしての地位を喪失する瀬戸際にある。

ロイターが取材した銀行関係者ら6人によると、複数の中国人顧客が、他の海外金融拠点に資産を振り向けようと考えている。移転先としてはシンガポールやスイス、ロンドンが有力という。

欧州系資産運用会社のアドバイザーは、香港への投資機会をうかがっていたある中国人投資家が、代わりにシンガポールで投資用マンションを5部屋購入したと明かす。

シンガポールを拠点とする金融関係者は、中国人富裕層から香港以外での口座開設について問い合わせが増えていると指摘した。

また香港を拠点として中国人顧客の資産運用を行っているマネージャーは、ドバイで投資事業体を設立したいとの問い合わせを受け、現地の銀行2行と提携協議を行っているという。

香港はアジアの金融センターの地位をシンガポールと競ってきた。しかし、中国政府が香港への統制を強化する「国家安全法」が制定されれば、香港の自由と法による保護が脅かされるとの懸念が高まっている。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、米通商代表と16日にニューデリーで貿易交渉

ビジネス

コアウィーブ、売れ残りクラウド容量をエヌビディアが

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ビジネス

米アルファベット、時価総額が初の3兆ドル突破 AI
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中