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円債は償還多く残高減も「買い目線」、長期・超長期債に投資=かんぽ・25年度運用計画

2025年04月23日(水)20時00分

  4月23日、日本郵政グループのかんぽ生命保険は2025年度の一般勘定資産の運用計画を公表した。写真は都内の日本郵政グループの看板。2020年2月撮影(2025年 時事通信)

Tomo Uetake

[東京 23日 ロイター] - 日本郵政グループのかんぽ生命保険は23日、2025年度の一般勘定資産の運用計画を公表した。円債は長期・超長期の国債などに幅広く投資するが、保有する債券の償還が多いため残高は減少するとの見通しを示した。タイミングを見て、為替ヘッジ付きの外債から円債への資金シフトにも取り組む方針。

野村裕之執行役員・運用企画部長が資産運用方針説明会で明らかにした。

総資産の7割を占める円債の投資スタンスは「買い目線」で、20年物を中心とした長期・超長期国債に幅広く、「グロスで5000億円程度」の買いを想定している。ただ保有債券の償還が1兆3000億円程度あって投資額を上回るため、残高は減少する見込み。

また米金利が低下する中、タイミングを見てヘッジ外債からバリューのある円金利資産への資金シフトにも取り組む。「状況次第だが、資金シフトによる円債購入が積極的にできれば、グロスの買いはトータルで1兆円近くになる可能性もある」(野村氏)という。

日銀の金融政策については、年度内に1回か2回の追加利上げがあると想定。野村氏は「政策金利は1%くらいまでを視野に入れて(利上げを)続けるのではないか。市場が落ち着いて景気の持ち直しがあれば、年度内に何とかできるのではないか」との見方を示した。

かんぽ生命では「国内超長期金利は景気対策への思惑や海外の超長期金利上昇につれて一旦高止まりするものの、ピークを迎える可能性がある」とみて、年度末の20年金利を足元(23日時点で2.2%)よりやや高い2.4─2.5%と予想。

野村氏は「今の金利のレベルは魅力的。保険の販売動向にもよるが、買い入れを予定している分は比較的淡々と購入していいレベルだと思う。円債にバリューがある状況で、現在は投資を淡々と進めている」と述べた。

外貨建て債券は、為替ヘッジ付きについてはヘッジコスト控除後利回りの低下を背景に売却して残高は減少から横ばいの方向で、為替リスクをとるオープン外債は「円高見通しの中、相場変動時に慎重目線」で取り組み、残高は微増を見込む。

リスク性資産の株式は「慎重なリスクテイク」を基本姿勢とし、国内株式・外国株式いずれも残高は横ばいの計画。

オルタナティブ資産は、引き続き安定的に積み上げる。プライベートエクイティについては先行して残高が積み上がったため、前年度と同様、インフラエクイティや国内不動産に注力する方針。

かんぽ生命の一般勘定の総資産残高は、昨年12月末時点で60兆4718億円。うち外貨建て資産は4兆2130億円(7.0%)。

2025年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り   1.00―2.00%(年度末1.70%)

米国債10年物利回り    3.50―4.70%(同4.00%)

日経平均株価        3万―4万1000円(同3万8000円)

NYダウ          3万3000─4万6000ドル(同4万2000ドル)

ドル/円          130―150円 (同138円)

ユーロ/円         145―165円 (同157円)

(植竹知子)

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