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焦点:視野に入った米経済「軟着陸」 物価指標やIT人員削減で

2022年11月18日(金)15時00分

 11月16日、米国でインフレ鈍化を示す指標が増え、消費者が借り入れを増やし過ぎている兆候が生じ、ITセクターでは人員削減が相次いでいる。米首都ワシントンで2013年撮影(2022年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 16日 ロイター] - 米国でインフレ鈍化を示す指標が増え、消費者が借り入れを増やし過ぎている兆候が生じ、ITセクターでは人員削減が相次いでいる。これらはどれも、米経済が深刻な景気後退に陥らずにインフレが収まるという「軟着陸」シナリオを裏付ける材料かもしれない。

米連邦準備理事会(FRB)幹部らは今週、今後は利上げペースが落ちるとしても、利上げ自体は当面続ける意向を強調した。最近のインフレ率低下が一過性のものでなく、幅広い財とサービスに広がっていることを確認するまでは利上げを継続する姿勢だ。

過去1年余りはインフレ率が予想外に上昇することの繰り返しだったが、その流れが逆転し、FRBが利上げペースを緩められる余地が生まれている可能性がある。

15日に発表された10月の卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、市場は12月13─14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が50ベーシスポイント(bp)にとどまるとの見方をさらに強めた。

先週には10月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、FRB幹部らが今後利上げ幅を過去4回の75bpから縮小する可能性を示唆したばかりだ。

10月のPPIは、サービス価格が2020年11月以来初めて低下したのに加え、パンデミック中に一部のサプライヤーが享受していた高い利ざやが縮小しつつある状況を映し出した。

アマゾン・ドット・コムなどの巨大IT企業は最近、大規模な人員削減を発表した。しかしこれは労働市場全体に亀裂が入ったことを示す証拠とは程遠く、パンデミック時代の過剰雇用からの健全なシフトかもしれないと、ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジョゼフ・ブリッジズ、ロニー・ウォーカー両氏は記している。

FRB幹部らは、現在の高い労働者需要が弱まって求職者の数と釣り合うまでは、インフレは鎮静化しにくいと主張している。パンデミック期の巣ごもり需要で勝ち組となったIT企業において、まさにそうした調整が始まったのかもしれない。

ゴールドマンのエコノミストらは「IT企業はパンデミック中の急成長がそのまま続くと考えて人員を過剰に増やし、今になってそれを調整している可能性がある」と指摘。IT企業の人員削減は景気減速と金融引き締めの「不幸な副産物」だが、局地的現象であり、労働市場全体に広がってはいないとの見方を示した。

<クレジットカード債務が増加>

ニューヨーク連銀が15日発表した第3・四半期の家計債務・信用統計では、消費支出は相変わらず比較的強いものの、物価上昇のあおりで消費者が借り入れを増やし過ぎている可能性が示された。

第3・四半期のクレジットカード残高は前年同期比で15%も増え、延滞率が低水準ながら上昇した。

年齢層によっては、クレジットカード借り入れがパンデミック前の水準に戻って2020年に見られた債務返済の流れが逆転した。これは消費者需要を支えてきたキャッシュバランスが一部家庭で底を突いている兆候かもしれない。

また、ニューヨーク連銀の11月の製造業業況指数は予想外に大幅上昇したが、新規受注はマイナスに転じており、企業が先行きの需要減を予想している可能性が示された。

<マージンの大規模再圧縮>

10月のPPIでは、利ざや(マージン)の縮小が鮮明になった。エコノミストやFRB幹部は、サプライチェーン(供給網)の問題が和らいで在庫が増え、金融引き締め効果で需要が減退すると利ざやが縮小すると予想していた。これらはいずれも、価格競争の激化につながり得る。

ブレイナードFRB副議長は14日、ブルームバーグのイベントで「競争圧力がさらに高まってコストを押し下げ始めるだろう」とし「このことはもちろんディスインフレに寄与する」と語った。

パンテオン・マクロエコノミクスの首席エコノミスト、イアン・シェファードソン氏は14日のリポートで「『マージンの大規模再圧縮』が明らかに進行中であり、まだまだ進む」とし、15日発表のPPIで卸売物価の上昇圧力緩和が示されると予想していた。

(Howard Schneider記者)

ロイター
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