ニュース速報

ビジネス

中国恒大の取引先、業績悪化 売掛債権回収できず

2022年01月28日(金)19時22分

 中国の不動産開発大手、中国恒大集団の資金繰り難を背景に同社と取引のあるサプライヤーの業績が悪化している。写真は海南島の恒大の開発地区。1月6日撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

[上海 28日 ロイター] - 中国の不動産開発大手、中国恒大集団の資金繰り難を背景に同社と取引のあるサプライヤーの業績が悪化している。

今後本格化する決算発表では、こうした実態がさらに明らかになるとみられ、政府は影響波及と人員削減の回避に向けて対応を迫られそうだ。

家具メーカーの広州州好莱客創意家居は26日、中国恒大に対する売掛債権が回収できない可能性が高いとして、2021年の純利益が前年比で最大60%減少するとの見通しを示した。

これに加え、不動産市場の低迷で、20年に買収した企業の価値が低下、減損処理を迫られた。同社は中国恒大との取引を大幅に減らし、支払いを求めている。

ドア、窓、カーテンウォール製造の北京嘉寓門窓幕墻も今週、21年決算が最大14億元の赤字に転落する恐れがあると表明。中国恒大に対する売掛債権が焦げ付く可能性が高いとしている。

照明メーカーの広東三雄極光照明も今月、21年決算が85─90%の減益になると予想。中国恒大関連の減損処理の急増が響いた。

不動産景観工学の深セン文科園林も、中国恒大の債務不履行で21年決算が赤字に転落したことを明らかにした。

上場企業の決算発表は、来月から本格化するため、こうした発表は今後増えるとみられている。多くのサプライヤーは、中国恒大に対する債権を公表しており、一部の企業はすでに引当金を計上している。

政府は不動産開発会社の資金繰り悪化を緩和する措置を一部講じているが、最近のデータを見ると、状況はさらに悪化する可能性がある。

上海票据交易所によると、短期資金を調達するコマーシャルペーパー(CP)の支払いを恒常的に延滞している中国企業の数は12月に前月から26%増えた。世茂集団、佳兆業集団、緑地集団の系列会社も含まれている。

住宅の装飾を手掛ける上海全築は、中国恒大とその子会社に対し、計333件の訴訟を起こしたと発表。訴訟の結果が出るまで業績への影響を判断できないとしている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、月の裏側へ無人探査機 土壌など回収へ世界初の

ビジネス

ドル152円割れ、4月の米雇用統計が市場予想下回る

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中