ニュース速報

ビジネス

ヤマトとJAL、空輸で宅配便配送 ドライバー問題と貨物需要に対応 

2022年01月21日(金)19時23分

 1月21日、宅配便最大手のヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスと日本航空(JAL)は、宅配便の国内物流網の強化に向けて、首都圏からの長距離輸送で貨物専用機の運航を2024年4月から始めると発表した。写真はJAL航空機。シドニーで昨年11月撮影(2022年 ロイター/Loren Elliott)

[東京 21日 ロイター] - 宅配便最大手のヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスと日本航空(JAL)は21日、宅配便の国内物流網の強化に向けて、首都圏からの長距離輸送で貨物専用機の運航を2024年4月から始めると発表した。ヤマトグループが機体をリース導入し、JALグループが運航を担う。

ドライバーの不足や労働環境が問題となっている陸運業界では、24年4月からドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限され、長距離トラックの輸送力確保や代替手段の検討が課題となっている。大雨や大雪、地震などによる物流網寸断リスクへの対応も求められている。電子商取引の利用も増えている中、ヤマトは新たな輸送手段として貨物専用機を活用し、輸送力の安定的な確保やサービス品質の維持向上を図る。

航空業界では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客需要は激減している一方、航空貨物の需要は増加。貨物専用機を保有するANAホールディングスは旅客の落ち込みを補うことができているが、JALは貨物専用機を持っておらず、旅客機の床下貨物スペースの利用にとどまるため、旺盛な貨物需要を取り込めずにいた。国内線では長期的な人口減少の影響も懸念され、貨物供給力が課題となっていた。

空輸の対象は、首都圏(昼間は成田、夜間は羽田)から北海道(新千歳)、九州(北九州)、沖縄(那覇)への長距離輸送。エアバス製の中古旅客機を貨物専用機に改修した3機をヤマトグループがリース導入する。ヤマトの投資額は非公表。JALグループは運航委託費を受け取り、グループの格安航空会社ジェットスター・ジャパンが運航を担う。1機当たりの最大搭載重量は28トンで、10トントラックで約5─6台分に相当する。

ヤマト運輸の梅津克彦、JALの岩越宏雄の両執行役員がこの日会見した。ヤマトの梅津氏は貨物専用機を利用することで「(宅配便の)価格がアップすることはない」と述べ、「空と陸の掛け算をしっかり目指したい」と語った。JALの岩越氏は「まずは国内線から始め、今後の需要動向次第では(この機体で飛行可能な)近距離アジア路線を視野に入れたい」と語った。

*写真を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル155円台へ上昇、34年ぶり高値を更新=外為市

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中