ニュース速報

ビジネス

米金利水準「おおむね適切」、新型肺炎はリスク=ダラス連銀総裁

2020年02月19日(水)04時03分

米ダラス地区連銀のカプラン総裁は新型コロナウイルスの感染拡大に起因するリスクに言及しながらも、現在の米金利水準は年内を通して「おおむね適切」との考えを改めて示した。ワシントンの 米連邦準備理事会(FRB)で2018年8月撮影(2020年 ロイター/Chris Wattie)

[18日 ロイター] - 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は新型コロナウイルスの感染拡大に起因するリスクに言及しながらも、現在の米金利水準は年内を通して「おおむね適切」との考えを改めて示した。

カプラン総裁は18日に公表したエッセーで、米経済は消費にけん引され2020年は2─2.25%の成長率を達成すると予想。失業率は3.6%から3.5%に低下するほか、インフレ率はFRBが目標とする2%に向け上昇していくとの見方を示し、米経済に対し比較的楽観的な見方を示した。

その上で「中国を発生源とする新型ウイルスの感染拡大による影響は当然、こうした見通しに影を落としている」とし、ダラス地区連銀のエコノミストは、新型ウイルス感染拡大が米経済、および世界経済の成長に及ぼす影響について複数のシナリオを検証していると指摘。ただ「最終的に経済がどのような影響を受けるのか確信を持って予測するのは時期尚早だ」と述べた。

カプラン総裁はこのほか、墜落事故を受け運航停止となっている米航空機大手ボーイングの737MAXの製造遅延などが米経済の重しとなる可能性があるとの見方を示した。

連邦準備理事会(FRB)は世界的な景気減速と通商問題を巡る先行き不透明性から米経済を守るために、昨年は3回の利下げを実施。ただカプラン総裁は、米中が通商交渉で「第1段階」の合意に達したことや、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き見通しが改善したことなどを挙げ、こうしたリスクは今年に入りともに後退したとの認識を示した。

FRBのバランスシートについては、6月までに拡大ペースが若干鈍化することを望んでいるとし、銀行システム内の準備金が1兆5000億ドルに達した後は徐々に拡大すると見通した。

カプラン総裁はこれまでにFRBのバランスシート拡大は金融市場の不安定化につながるとの懸念を示してきたが、今回のエッセーではこうした懸念は表明しなかった。

原油市場については米国の産油量の伸びは今年は減速し、その結果、原油・天然ガス産業の設備投資は10─15%減少するとの予想を改めて表明。また「再生可能エネルギーの産出量の増加を巡る予測には幅があるものの、エネルギー業界で移行が起きていることは明白だ」とし、気候変動による影響を最小限に食い止めるための投資は米企業に「成長の大きな機会」になる公算があるとの考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米給与の伸び鈍化、労働への需要減による可能性 SF

ビジネス

英中銀、ステーブルコイン規制を緩和 短国への投資6

ビジネス

KKR、航空宇宙部品メーカーをPEに22億ドルで売

ビジネス

中国自動車販売、10月は前年割れ 国内EV勢も明暗
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中