ニュース速報

ビジネス

中国10月PPIは4カ月連続で伸び鈍化、内需の弱まり反映

2018年11月09日(金)14時13分

 11月9日、中国国家統計局が発表した10月の生産者物価指数(PPI)上昇率は前年比3.3%で、9月の3.6%から鈍化した。写真は7月江蘇省の工場で撮影(2018年 ロイター)

[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した10月の生産者物価指数(PPI)上昇率は前年比3.3%で、9月の3.6%から鈍化した。鈍化は4カ月連続で、米国との貿易摩擦が経済を圧迫していることが浮き彫りになった。原材料需要の弱まりや製造業の減速を反映した。

PPIはロイター調査のアナリスト予想と一致した。前月比の上昇率は0.4%となった。10月は原材料価格の上昇率が前年比6.7%と、9月の7.3%から低下した。

消費者物価指数(CPI)の上昇率は9月から横ばいの前年比2.5%で、こちらも市場予想と一致。前月比では0.2%上昇した。

中国では基調的な生産者物価の伸びがここ数カ月間鈍化している。固定資産投資の伸びが過去最低付近となっているほか、工業部門の企業利益も減速している。

中国は2018年のCPI上昇率目標を昨年と同じ3%に設定している。

国家発展改革委員会(NDRC)は先月、中国の消費者インフレに加速傾向はみられず、物価は引き続き妥当なレンジ内で推移するとの見方を示した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、チャン・リュー氏は「輸入価格高は生産者物価への一定の上昇圧力になる可能性があるが、PPIの伸び鈍化を抑えるのには不十分だ」と指摘し、「政策当局者は、基調的な物価圧力が引き続き抑制されていることに一段と注意を払い、経済活動を下支えするため今後数カ月にわたり緩和策を続けるだろう」と指摘した。

中国経済の勢いはここ数カ月軟化しており、習近平国家主席は先週、国内経済は「下振れ圧力の高まり」に直面しているとの認識を示した。

継続的な人民元安が輸入価格へのある程度の上昇圧力となるが、国内経済の減速や商品価格の下落により、CPIとPPIは共に年内伸びが鈍化するとアナリストは予想している。

前出のリュー氏は「われわれの予想通りに人民元が今後数カ月一段安となれば、輸入コストは上昇を続ける。ただ、それが国内の物価に及ぼす影響はさほど大きくない」と説明した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中