ニュース速報

ビジネス

アングル:米大手銀、債券取引の自動化で利ざや圧迫も

2018年10月19日(金)08時32分

 10月17日、米金融大手の第3・四半期決算は、またしても債券取引事業の業績が不振だった。各行は業績向上を目指して新技術の採用を急いでいるが、アナリストによると利ざやは縮小する見通し。写真はウォール街の標識。NY市で2013年10月撮影(2018年 ロイター/Carlo Allegri)

[17日 ロイター] - 米金融大手の第3・四半期決算は、またしても債券取引事業の業績が不振だった。各行は業績向上を目指して新技術の採用を急いでいるが、アナリストによると利ざやは縮小する見通しで、勝ち組に入れるのはシェア拡大に成功した数社だけだろう。

第3・四半期に債券取引の収益が前年同期に比べて目に見えて増えたのはシティグループだけだった。最も振るわなかったのはゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーで、それぞれ10%減少した。

世界金融危機後の相場急上昇が終わった2010年以降、債券取引の収入は減少を続けている。オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトフスキ氏によると米金融機関全体では2010年の年間1010億ドルから40%減って610億ドルとなった。

背景にあるのは歴史的低金利と規制強化によるコスト増だ。専門家は、銀行が取引の電子化や処理速度の迅速化を進めれば、業績を上げられるという。実際、株式取引が数十年前に同じような道をたどった。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は16日、アナリストに対し、債券市場の規模は今後20年間で2倍に拡大するため、収益も向上する可能性があると述べた。しかし実情は、ここ数年で債券・為替・コモディティ(FICC)取引事業の市場規模が拡大した一方で、利益率は縮小している。

オートノマス・リサーチの銀行アナリスト、ガイ・モシュコフスキ氏は「問題は一部の銀行が、さらに破壊されてしまう前にどの程度事業モデルを変革して自らを破壊できるかだ。ゴールドマン・サックスのような企業はそうしたシナリオを念頭に置いていてもおかしくない」と話した。

ゴールドマンのマーティー・チャベス最高財務責任者(CFO)は、早くから債券取引の「電子化」を唱えてきた。16日のアナリスト説明では「機械にできることは機械に任せるに限る」と述べた。

競合するモルガン・スタンレーも債券取引の自動化を「最優先」課題に掲げている。

かつて、債券取引の自動化は株式に比べて難しいとの見方があった。社債ひとつ取ってもさまざまな年限の銘柄が数千もあり、取引所に上場しておらず、流動性も低い。

しかし今、ゴールドマンの社債取引システムはアルゴリズムを使い、最大200万ドルの取引を自動で行える。チャベスCFOは、将来的にはもっと大規模な取引が処理できるようになると述べた。

取引自動化の短所は利ざやの極端な縮小だ。最終的には、シェア最大手の一握りしか利益を上げられなくなるだろう。

オッペンハイマーのコトフスキ氏は「電子的に容易に取引できるものは、ゼロに近い利ざやで取引される」と語った。

(Matt Scuffham記者)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン新指導者「犯罪者は代償支払う」、政権幹部ラリ

ワールド

パキスタンとアフガン、相互に一時休戦 イスラム教祝

ビジネス

ECB、銀行規制緩和に慎重姿勢 地政学的リスクへ備

ビジネス

米製造業新規受注、1月は微増 原油高でコスト上昇圧
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポリ」が中東へ
  • 4
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 9
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中