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IT企業課税、G20で欧州が国際ルールの策定推進を訴え

2018年07月23日(月)15時33分

 7月22日、ブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、欧州連合(EU)がIT企業への国際的な課税ルールの策定を進めるよう求め米国と対立した。写真は会見する欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)。ブエノスアイレスで撮影(2018年 ロイター/Marcos Brindicci)

[ブエノスアイレス 22日 ロイター] - 22日までブエノスアイレスで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、欧州連合(EU)がIT企業への国際的な課税ルールの策定を進めるよう求め米国と対立した。

G20の共同声明は、経済の電子化が国際課税制度にもたらす影響に対処するための解決策を、2020年までに追求すべく共に取り組むとしたが、具体策には踏み込まなかった。

欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は当地で記者団に、「われわれは基本的に公平性について協議している。(大手IT企業は)相応の税負担をする必要がある」と語った。その上で、暫定的な措置として売上高への課税を年末までに導入することを訴えていると説明した。

欧州委員会の代表としてG20に出席したフーベルト・フックス氏は会議の合間に「デジタル経済における課税制度の大きな課題のひとつは、大半が米企業への課税となることだ。(米IT企業は)世界で中心的な存在だからだ」と指摘。「したがって米国は自国のデジタル経済への攻撃と誤って受け止めている」と述べた。

米政府関係者のコメントは得られていない。ムニューシン米財務長官はこれまでに、IT企業は米経済に大きく貢献しているとしてIT企業に的を絞った課税案には強く反対する考えを示している。

オーストラリアのモリソン財務相は、問題の根本が明確になったとしてG20の協議は有意義だったと述べた。

米フェイスブックなどが提供するソーシャルメディアの利用者が海外で生み出すデータについて、課税目的としての価値をどのように測るか「誰にも分からない」と指摘。こうした技術的な問題を解決しなければ、「暫定的な措置」を取る国が増えるとの見方を示した。

モリソン氏は「暫定的な措置とは基本的にデジタル広告への売上税だが、現時点ではその効果についてわれわれは確信を持てない」とし、「いくら税収が得られるかといったことよりも、技術的な問題に焦点を当てることが重要だ」と指摘した。

ロイター
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