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米財政赤字は今後数年で急速に拡大、大型減税で=議会予算局
4月9日、米議会予算局(CBO)は、予算および経済見通しの年次報告を公表し、昨年末に共和党主導で成立した大型減税によって今後数年間に財政赤字が急速に拡大するとの見通しを示した。写真は米議会議事堂。3月にワシントンで撮影(2018年 ロイター/Gary Cameron)
[ワシントン 9日 ロイター] - 米議会予算局(CBO)は9日、予算および経済見通しの年次報告を公表し、昨年末に共和党主導で成立した大型減税によって今後数年間に財政赤字が急速に拡大するとの見通しを示した。
この中で、2018会計年度(9月30日終了)の財政赤字は8040億ドルと、17年度(6650億ドル)から膨らむと予測。
赤字は「今年とその後の数年間に急速に増大」した後に安定するとし、18━27年の累積赤字は11兆7000億ドルと見込んだ。
債務の対国内総生産(GDP)比は現時点の約77%から2028年までに100%に近づく見通しだとした。
一方で、減税や1兆3000億ドル規模の支出策が経済成長を後押しし、今後2年間の企業、家計の裁量的支出の勢いが増すと予想。
実質GDP伸び率見通しは、18年が3.3%、19年は2.4%と、20年は1.8%とし、大型減税や財政支出によって当初の予想以上に経済成長が加速すると見込んだ。
CBOの示した明るい見通しは11月の中間選挙で過半数議席の維持を目指す共和党の経済政策を後押しする可能性がある。
一方で、CBOは財政赤字の拡大やインフレ、金利上昇が予想される中で、GDP伸び率は2020年から26年にかけて鈍化するとも予想。個人所得税の減税措置が2025年末で失効することも経済成長の足かせになると指摘する。
下院共和党は予算均衡に向けた措置を講じる方針を表明していたが、休会が明けた現時点でそのような法案が可決される可能性はほとんどなく、共和党の取り組みは政治的なメッセージに終わるとみられる。
CBOの年次報告は通常1月だが、今年は減税や歳出法案の効果評価のため遅れた。米中貿易摩擦に伴う影響は考慮されていない。