ニュース速報

ビジネス

トヨタとスズキ、環境・安全・情報で提携協議 競争激化に対応

2016年10月13日(木)00時08分

 10月12日、トヨタ自動車の豊田章男社長(写真左)とスズキの鈴木修会長(右)は、業務提携に向けた協議入りについて会見し、自動車業界で激化する技術開発競争で両社が生き抜くための連携であることを強調した。(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>の豊田章男社長とスズキ<7269.T>の鈴木修会長は12日、業務提携に向けた協議入りについて会見し、自動車業界で激化する技術開発競争で両社が生き抜くための連携であることを強調した。両社は今後、自動運転などの安全技術、環境対応車、インターネットでつながる車といった情報技術などでの協業の具体的な検討に入る。

両社は欧米に後れを取る規格づくり、インフラ整備などでの協力も模索する。豊田社長は「情報技術や環境問題などを考えると、1社でできることは限られている」と指摘。「変化に対応する力、これが今のトヨタが乗り越えなくてはいけない課題」と述べ、スズキを「変化に対して臨機応変に対応できる力が非常に長けている」と評価し、提携の意義を語った。

豊田社長はまた、出資を含めた提携内容の具体化は「全くこれから」で、「まだお見合いの段階。両社・自動車産業の発展にとって何ができるのか、これから考えたい」と話した。スズキがシェア首位のインド市場で連携する可能性については「スズキを活用するという気持ちは大変失礼と思う。その開拓精神は学ばせていただきたい」と述べた。

鈴木会長は「独立した企業として経営していく覚悟に変わりない」としつつ、「情報技術を中心に自動車産業をめぐる技術競争は急速に変化している」と指摘。国内では軽自動車、海外ではインドを中心に強みを持つスズキだが、こうした市場でも「従来から取り組んできた伝統的な自動車技術を磨いていくのみでは将来危うい」と語り、トヨタとの提携の必要性を強調。9月に豊田章一郎名誉会長に相談し、協議入りを打診したことも明かした。

トヨタは8月にスズキと軽自動車で競合するダイハツ工業を完全子会社化したばかり。ダイハツはトヨタの新興国市場での小型車事業を担い、軽のシェアはスズキを合わせると6割を超えるため、独占禁止法を踏まえて検討を進める。今回の提携は他社にも開かれており、他の自動車メーカーのみならず、IT分野など幅広い業種との連携につながる可能性もある。

*内容を追加しました。

(白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど

ワールド

リビア軍参謀総長ら搭乗機、墜落前に緊急着陸要請 8

ビジネス

台湾中銀、取引序盤の米ドル売り制限をさらに緩和=ト
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中