コラム

令和の禁酒令、世界最古のワイン、もぐりの酒屋... それでもみんなお酒が飲みたい

2021年05月26日(水)18時10分
ロシア人

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<禁止されても、飲みたくなるのが人情? 令和3年に振り返る世界各地の「お酒の思い出」>

【酒好きの男】
お酒の飲み過ぎで入院していたロシア人が、見舞いに来てくれた友人に言った。

「俺ももう長くはないだろう。もしものことがあったら、俺の墓には最高のウオッカをたっぷりとかけてくれないか?」

友人が答えた。

「分かった。そうしよう」

友人が続けた。

「でもそれは俺の内臓を通してからでいいかな?」

◇ ◇ ◇

「令和の禁酒令」に「路上飲み」など、お酒にまつわる話題に事欠かない令和3年。そこで今回は、世界各地での「お酒の思い出」について少し書いてみたい。

私が2年ほど暮らしていたルーマニアの代表的なお酒は「ツイカ」という蒸留酒。原料はプラムで、主に食前酒として愛飲されるが、アルコール度数は40度以上が普通というかなり強いお酒である。

私はこのツイカを毎日のように飲まされ続けたおかげで、だいぶお酒に強い体となった。

ルーマニアは冬が長く厳しい国だが、ツイカを飲むと体が内側から温まる。一方で、夏がジメジメと蒸し暑い日本では、キンキンに冷やしたビールが人気だが、お酒と気候の相関は深い。

また、ルーマニアはワインの生産も盛ん。驚いたのは、炭酸水で割る飲み方が一般的なことである。

当初は「もったいない」と思ったものだが、いつの間にかすっかり慣れ、違和感もなくなってしまった。このような飲み方は、実はヨーロッパのあちこちで親しまれている。

イラクに「もぐりの酒屋」

中東と聞くと「飲酒がタブー」というイメージが強いかもしれないが、実際には国によってかなりの差が見られる。

トルコには「ラク」というブドウの蒸留酒がある。アニスで香りを付けたこの蒸留酒は無色透明だが、水で割ると白濁するため「ライオンのミルク」とも呼ばれる。

アラビア半島では「アラック」と称されるが、江戸時代の長崎では「阿刺吉(あらき)」という酒が取引されていたという。おそらく同じものであろう。

レバノンでは多様なワインやビールが生産されている。レバノンのワインは一説には「世界最古のワイン」とも言われるが、20世紀にフランスの植民地となった影響もあり、フランスワインに似た芳醇な風味が特徴となっている。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU・仏・独が米国非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場

ワールド

パキスタン国際航空、地元企業連合が落札 来年4月か

ビジネス

中国、外資優遇の対象拡大 先進製造業やハイテクなど
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story