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マンガ家としてプロ生活を始めてから早や60年以上──。描けば描くほど、そして他の人の描いた作品を読めば読むほど「マンガはドラマとして実によくできた表現方法だ」としみじみ思う。
小説、映画、演劇など、昔から人類は物語によって思いを語り人生を描き、真理に迫ることを繰り返してきた。
小説は一人称か三人称で語られる。読者は「我」か「第三者」として物語にひたる。演劇、映画、テレビドラマなどは、登場人物のセリフのやり取りで物語が進行する。観客はそれぞれの人物の「言い分」や「振る舞いかた」に接しながら物語の流れにのっていく。
マンガは小説というより映画や演劇に近い。一人称でもなく三人称でもなく、言ってみれば「多人称」で物語が進行する。しかし映画や演劇とは大きな違いがある。「自分でセリフを読まなければ物語が進行しない」のだ。
映画や演劇は自分ではない誰かがセリフを喋り演じてくれる。途中で居眠りしてもよそごとを考えていてセリフを聞き逃しても、物語は進行していく。
マンガは各コマに登場する人物たちの言い分(セリフ)を「読者である自分」が読まなければ物語はストップしてしまう。話している人物は、一人一人違うキャラクターだ。そのキャラクターの話す言葉を自分の目で確かめながら読み進める。それが「マンガを読む」という行為だ。
一方的に受け身で聞く映画や演劇のセリフと違って、自分自身が参加しなければ成立しない物語の世界がマンガにはある。知らず知らず感情移入してしまうマジックのようなものだ。
マンガ制作の基本は、
①まずストーリー、テーマなどを考え、それを生かせるキャラクターを考える。キャラクター設定からスタートする場合もあるが、それはその作品ごとに作者が自由に設定する。
②大まかなストーリーの輪郭ができたら、細かくシナリオの土台を作る。ここの段階で設定を生かすためのキャラクターが増えていくケースが多い。
③シナリオを作りながら大まかなコンテを作っていく。
④何度か設定を練り直したりキャラクターの個性を付け足しながらページごとにコマ割りし、構図とセリフを決定していく。
⑤以上が「ストーリー、セリフ、構成の部分」で、これより後はいよいよ「絵」に移行する。これまでにまとめたセリフと構図を原稿用の紙(ケント紙か画用紙)に鉛筆で下描きしていく。
⑥下描きに納得がいけばようやく本番(?)の線を描きこんでいく。大抵の場合黒いインクか墨汁など「黒」の線を、つけペン、筆ペンなど自分の好きな用具で描く。
⑦インクが乾いたら下描きの鉛筆線を消しゴムで消す。
⑧画面に影を入れたり、登場人物の衣類に模様を入れたり、その他こまごまと効果を上げる付け足しをして──原稿が出来上がる。
以上の⑤〜⑧つまり「絵の部分」は今ではデジタルで仕上げるケースも増えているが、基本的には以上のような段取りで作品が仕上がっていく。
①から④までは我が国では基本的に作者一人で考え生み出す。原作付きの作品もあるが、基本は一人で作品の骨組みを創り上げる。
