「そもそもなぜ、先人たちが国家の総力を挙げて開発し、備蓄してきた核兵器をウクライナに使わないのか」
ロシアの新興財閥コンスタンチン・マロフェーエフは問いかける。ウクライナ軍に戦術核兵器を使用すべきだと考えているのは、彼だけではない。
ウラジーミル・プーチン政権は、2022年2月のウクライナ侵攻以前から、最も破壊力の強い兵器を使用すると脅していた。
例えば、ロシアは同年2月上旬、通常なら秋に実施する核戦力の演習を前倒しで行った。当時、この動きは警告であると広く受け止められた。
そして、「特別軍事作戦」が始まった2月24日、プーチンは「歴史上、かつて経験したことのない結果」に直面することになると述べた。
こうした脅しにアメリカと欧州の同盟国は萎縮し、ウクライナを全面的に支援しなかった。
研究者のポリーナ・シノヴェツとムハンマド・アリ・アルキスは「以来、ロシアの政府当局者やメディアは、ほぼ毎月のように『核の切り札』を持ち出すようになった。そのたび、ロシアは西側に対して新たな『レッドライン』を示してきた」と指摘した。
これに対し、ウクライナの友好国は、繰り返しロシアの「レッドライン」がどこにあるのか、慎重に試してきた。シノヴェツとアルキスが指摘したように、「核による威嚇が繰り返された結果、その信頼性は低下した。最終的に、ロシアが新たに核の脅しをかけても、以前ほど効果を持たなくなった」のだ。
次のページ