アメリカ政府は2022年10月に、スーパーコンピュータの製造やAIの訓練に使う先端的ICの輸出を規制する政策を打ち出した。ICそのものの輸出を止めるだけでなく、中国企業が先端的なICを設計して台湾などに生産委託したり、あるいは国内でICを製造するために最先端の製造装置を輸入したりすることまで制限した。中国がスパコンやAIでアメリカにキャッチアップするのを徹頭徹尾封じ込めようとしたのである。

だが、輸出制限が厳しすぎると、エヌビディアなどアメリカのICメーカーが中国市場を失うことになってしまう。ICメーカーは対応せざるをえない。

これまでAIの世界ではエヌビディアのA100とH100というICが広く使われており、その点では中国も例外ではなかったが、規制によってそれらを中国に輸出できなくなったため、エヌビディアはアメリカ政府の規制に合致するように性能を落とした中国向けバージョンのA800とH800を開発した。

H800の場合、ICチップ間のデータ転送速度がH100の半分ほどに落とされているという(Reuters, March 22, 2023)。

DeepSeek-V3のテクニカルレポート(DeepSeek-AI, 2025)によると、V3はこのH800を2048個使い、それを2か月弱にわたって訓練した。H800を総計278万8000時間(つまり2048個×24時間×約57日)動かしたので、H800を1個1時間借りる料金が2ドルだとすると、コストは557.6万ドルだったというのである。

エヌビディア製を代替する中国製ICも
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