これまでアメリカの経済界では、生成AIの開発には大量のICと資金と電気が必要だと言われてきたが、DeepSeekの登場はこうしたシナリオを根底から覆した。もはやエヌビディアの高価なICが大量に消費されることはないと予測され、その株価が暴落したというのである。

だが、DeepSeekの無料生成AIの登場は生成AIの利用に対するハードルをグッと引き下げるであろう。これまで生成AIを使わないでいた私もDeepSeek-V3をスマホにダウンロードして使い始めたぐらいだ。

これからは生成AIがインターネット上だけでなく、さまざまな機器に組み込まれていく。2月10日にはEVメーカーのBYDが全車種に高度運転支援システム(ADAS)を搭載することを発表し、車載システムにDeepSeekを導入すると発表した(『網易新聞』2025年2月11日)。

こうして生成AIの市場が大きく広がることは、AI用ICの最大のメーカーであるエヌビディアにとってむしろ追い風となるはずである。実際、1月27日に118ドル台に落ち込んだエヌビディアの株価は、2月12日には131ドルまで戻した。

DeepSeekの登場が与えたもう一つの衝撃は、アメリカ政府がこれまで中国に対して行ってきたさまざまな輸出規制が効果を上げていないことを示したことである。

無駄だった半導体規制
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