この結果、各党のバラマキリスト一覧比較表のようなものがテレビのワイドショーを一時的には賑わせたが、その後は、各党とも、バラマキを有権者にアピールすることを止め、その結果、ワイドショーも一巡してしまえば、後はこの話題を取り上げなくなった。

この結果、政策論争の焦点がなくなり、与野党の政策論争がなくなってしまったのである。

同時に、選挙の争点は、当初はコロナ対応の是非だったのが、感染者が急減して、有権者はコロナへの不満をきれいさっぱり忘れてしまい、最重要項目は経済と各党は言い出した。そして、その経済も、バラマキ論争はやりにくくなったため、争点がなくなってしまった。成長か分配か、という論争になりそうだったが、結局、どの党も成長も分配も、ということになり、かつどちらが先か、両方だ、というような抽象論に終始し、イメージ合戦の域を出なくなってしまった。

官僚も国家を救う?

すなわち、矢野論文をきっかけに、バラマキ合戦がエスカレートしそうなところだったのが、それがやりにくくなり、そうなると、具体的な経済対策のアイデアがない各党は、別のところに争点を求めたが、コロナも下火で争点はなく、選挙は盛り下がっていった。その結果、各党と党首のイメージ合戦になり、改革イメージの党と党首で売った維新が躍進しただけに終わった。一方、岸田政権は何をするか不明だが、イメージは優しそうで悪くはなく、攻撃的な野党よりもましなイメージになり、争点のない選挙で、自民党は負けないことになった。

矢野財務次官は、与野党を批判したのではなく、バラマキという政策を批判したのであり、政治的な意図はまったくなかったはずで、「やむにやまれぬ大和魂」からの悲痛な叫びを放っただけだったが、その結果、政治家からの攻撃で防戦一方だった国民のためを自負する官僚の叫びが政党を守勢に回らせ、バラマキ合戦のエスカレートを抑え込んだのである。攻撃は最大の防御だった。

結果として、「やむにやまれぬ大和魂」が、選挙の結果とは関係なく、国家破産という悪夢の実現から日本を(一時的にせよ)救ったのである。

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