「アメリカの寛大さにも限度がある」

実際、USスチールの買収に意欲を示していた米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベスCEO(最高経営責任者)は「中国は悪だ。しかし日本はもっと悪い」「日本よ気を付けろ。あなたたちは自分が何者か理解していない。1945年から何も学んでいない。われわれの血を吸うのはやめろ」と激しい口調で日本を罵っている。加えて言うと、トランプ氏にとってUSスチールは日本との取引材料に見えている可能性もある。

日米貿易不均衡が問題となった80年代、アメリカの著名ジャーナリスト、セオドア・ホワイト氏は「アメリカの寛大さにも限度がある」と今回とよく似た発言を行っている。

日本ではアメリカの世論を軽視する傾向が顕著だが、当時、首相だった中曽根康弘氏は、米国内の政治環境の変化を敏感に察知。貿易不均衡を是正する政治決断を行ったことで、最悪の事態を回避できた歴史がある。日米関係は日本にとって生命線であり、慎重な対応が求められる。

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