税金という形で税務署にお金は支払っていないものの、これは預金に対する課税と同じなので、経済学の世界ではインフレによる政務債務の削減について「インフレ課税」と呼ぶこともある。

もし物価上昇を政府が放置し、仮に物価が2倍になれば、国民から500兆円の税金を徴収したことと同じであり、消費税に換算すると、20年分以上に相当する莫大な金額となる。消費税の増税には大きな反対の声が寄せられるが、インフレによる事実上の課税については、桁外れな巨額増税であるにもかかわらず、感情的な反発の声はあまり聞かれない。

インフレと賃金上昇が同じペースなら国民生活にそれほど大きな影響は及ばないとされているが、これはあくまでも給与というフローに限った話である。預金というストックについては、インフレが進めば問答無用で価値が毀損し、事実上の税金として作用する現実について忘れてはならない。こうした「課税」を避けるには、不動産など物価に合わせて価値が上がる資産を保有しておく必要がある。

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