待っていても事態は改善しない

成長理論では、GDPの成長率を決めるのは資本と労働力とイノベーションの3つである。成熟国家において資本と労働力は急拡大しないため、必然的にイノベーションの寄与度が大きくなる。逆に言えば、継続的なイノベーションが見込めない場合、生産性を上げることはできず、インフレに勝つことも不可能ということになる。

結局のところ、企業の研究開発を促進したり、IT投資を強化することによって生産力を高める以外に方法はなく、これらの実現には時間がかかる。政治的には即効性がないので取り組みにくい課題かもしれないが、今回のインフレが長期化する可能性は高く、待っていても事態は改善しない。短期的な視点にとどまることなく、全体の生産力を拡大できる本格的な政策が不可欠となるはずだ。

この点について、与野党ともに十分な議論が行われているとは言えず、今のままでは場当たり的な対策を繰り返す結果となりかねない。目の前の物価対策を行いつつ、腰を据えた議論に踏み込めるのかがカギを握る。

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