<なぜかセルフポートレイトを撮る写真家が多い国、イラン。テヘラン在住のネガール・タクビーリもそのひとりだが、自らをフレームに収める理由は、ナルシシズムやセルフ・コンプレックスを超えた、もっと哲学的なものだった>
セルフポートレイトは、古今東西、数多くのヴィジュアルアーティストが好んでモチーフに取り入れてきた作品形態のひとつだ。写真家も、新進とベテランとを問わず、多くの者が自らをフレームに収めてきた。今回紹介するテヘラン在住のイラン人、ネガール・タクビーリもそのひとりだ。
タクビーリのセルフポートレイト・シリーズの大半は、ストレートに撮られたものでなく、壊れた鏡やガラスに映り込んだ彼女自身だ。シリーズは2年前、偶然壊れた鏡と共に始まったという。それが周りの風景やペットなどとも絡みあってさまざまな彼女自身を映し出し、不可思議な魅力を与えてくれる。
今回、彼女を選んだ理由のひとつは、イランにはなぜかセルフポートレイトを撮る写真家が多いからだ。彼女を通してその謎が解けるかもしれない、と思ったのである。美男美女が多い国のため、ナルシシズムを作りだしているのかもしれない。あるいは、その反対に、ちょっとしたセルフ・コンプレックスから、自分を直視するため、セルフポートレイトを多用する写真家が多いのかもしれない。
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