すなわち、イギリスの抱えている問題を解決するなら、保守党より労働党のスタンスの方が可能性は高く、そちらを支援するという判断です。そして国内の問題の非難の矛先を他者や他国にすり替えることをせず、自分達で解決するよう訴えてもいます。いずこの国も、打つ手に行き詰まると悪いのは海外とするのは一緒です。が、そこから脱却できるかどうかが、実は格差が縮小する中での経済成長を促すことにも通じるわけです。

 海外の声を良くも悪くも意識することに関連して。特定の国内産業や特定分野を真っ当な理由により、整合性の取れる範囲で最低限の保護をする必要性について否定するつもりはありません。しかしながら、例えばTPPがあろうと無かろうと、減反政策などこれまでの施策が食料安全保障や本当の意味での日本の米農家保護に役に立っているのかを含め、農業分野では見直しや改革は必要なはず。構造改革を唱える政府の経済再生本部の「産業競争力会議」がTPP参加を訴えるように、国内改革に外圧を利用したい政府の姿勢はいつの時代も見受けられます。外圧がかかって改革もやむなしとすれば「悪いのは海外」と非難の矛先を外に向けられます。

 先述のスティグリッツ氏の言葉を借りれば自由貿易協定は「関税の廃止、非関税障壁の廃止、補助金の廃止」あるのみ。TPPが仮に真の自由貿易協定であるとするなら、「補助金」の色合いが強い(前税調会長談)、「関税」と同等の役割を果たす消費税など直ちに取っ払われるべきものでもあります(ピケティ氏は欧州の付加価値税や日本の消費税は関税の側面が非常に強いとの指摘を今年1月に来日した際、2日目の日仏会館で行われたパネルディスカッションで指摘していました)。

 私の立場からしてみれば、こうした国際協定や外圧を消費税廃止など実体経済増強に向けての国内問題の解決に利用したいのは山々ではありますが、TPPの賛否を問われた際に以前からお伝えしているように、外圧によって国内改革を促すのは余りにも情けない話です。そして、この数十年に渡る日本の構造改革の失敗は自助努力によるものではなく、ひたすら外圧を盾にして実施されてきたから、という側面が多分に影響しているのではないのかとの思いが払拭できずにいます。