専務:ね、ね、激減していた牛丼の売り上げをV字回復させたジョウム君だけど、その秘訣は何なの?

常務:「生娘をシャブ漬け戦略」だね。

専務:おぉい! 大問題発言だ!! 今なんて言った?

常務:生娘を......。

専務:なんだその言い方!悪代官かよ、お前は......。

常務:お主もワルよの~。

専務:いや、俺は悪くない。ねぇ、時代劇大好きなジョウム君だから、無意識に使っているかもしれないけど、女性を蔑視するような表現だよ、それは。 

常務:いやいや、僕はそういう意味で言ったんじゃなく、田舎出身の若い女の子は何も知らないから、都会の男性においしいお肉をおごってもらう前に......。

専務:ストップ! 女性は男性におごってもらうものとか、何も知らないとか、そんな考え方が蔑視だよ! あと、「うぶな女性」と言いたくても、「性体験のない女性」という意味の表現を使っちゃだめだ! 生娘とか言っているお前こそなにも知らない男だね。

常務:そうか。おれ、生息子か......。

専務:そんな言い方ねぇよ! というか、「生息子」という言葉が存在しない時点ですでに警報が鳴ってることに気付いて! 「スチュワーデス」とか、「未亡人」とかもそうだけど、女性にしか使わない表現はアウト! 今の時代の常識だよ。

常務:ふ~ん。

「汁だく大盛り」で解任回避

専務:マーケティングの一環として、どうしても性別、年齢でターゲット層を示したいなら「若年女性」と言おう。

常務:なるほど。若年女性のお上りさんね......。

専務:ストップ! なんだよ、さっきから?! 都会と地方の格差が広がっているなか、地方出身者を蔑視する表現も絶対だめだよ。

常務:お上り様?

専務:いや、敬称の問題じゃない。地方をバカにしすぎだよ。そもそも地方でも牛丼チェーン店はそこら中にあるからね。

常務:ああ、それはそうだ。この間、杉並区にも店舗が出来たらしいよ!

専務:杉並は地方じゃないから!というか、出身地の話はとにかく止めなさい。

常務:わかった。シンプルに「若年女性のシャブ漬け戦略」でいく!

専務:おい。後半も直せ!

常務:「戦略」?

専務:「シャブ漬け」の方だよ!うちの商品は覚せい剤だとでも思っているのか?

常務:いやいや、とんでもない。依存性が高くて、摂取すると中毒になる、ちょっとラリる危険物質だと言っている。

専務:それが覚せい剤というやつ! 商品の例えとしては最悪だよ。牛丼はラリらないし。しかも「シャブ漬け」という、薬物中毒に苦しむ人への心ない、乱暴な言葉遣いもだめだ。やくざかよ、お前は!

常務:いや、悪代官だろ?

専務:やかましい! まあ、この戦略で狙ったのは、リピーター率を上げることでしょう?

常務:そう!

専務:じゃあ、「若年女性の来店率向上戦略」と言おう!

常務:へ? 硬すぎない? 同じ意味でも、ちょっとふざけた表現を使った方が、受講生も喜ぶんじゃないの?

専務:いや、ここはお笑いライブじゃなく、教育の現場だよ。面白さはいらん。先生はふざけない!

常務:すみませんでした。

専務:まあ、このやりとりは、コンプライアンス上で知らなかったことをたくさん知ることができたようだし、結局会場も大盛り上がりだったから、いいよ。

常務:うん。知ることたくさんで、大盛り上がり......。「シルダク、大盛り」だね、牛丼だけに!

専務:だから、ふざけるなよ! もういいよ!

うん。これなら常務は解任されずに済んだのかな。

寛容を目指して狭量にならないように
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